「もはや別物」バックドラフト2 ファイア・チェイサー odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
もはや別物
何故30年も経ってから続編を作ろうとしたのか?まあ、同じ脚本家だからところどころ前作のエピソードを挟んでいるがテーマもティストも全く別物。名匠ロン・ハワード監督ならではのヒューマンドラマ要素もゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ監督では遠く及ばず、前作でロバートデニーロが演じた放火調査官のサスペンス要素を膨らませ流行の国際的陰謀事件もどきに大風呂敷を広げました。ところがこれまた中途半端、要するに前作のヒットにあやかりたかった興業目的の名義借りなのでしょう。続編と期待せずB級サスペンス程度のつもりでご覧になればそれなりに楽しめます。
主人公も前作のスティーブン・マカフレイ(カート・ラッセル)の息子ショーン・マカフレイ(ジョー・アンダーソン)に代わっている。前作の弟役ブライアン・マカフレイ(ウィリアム・ボールドウィン)も年をとり今回は叔父さん役、さすがに年をとりました。マカフレイ家は代々の消防士一家ですからショーンも放火調査官、ところが幼少期に自室に放火したトラウマを持つと言うサイコホラーのようなキャラ設定、前作で「羊たちの沈黙」もどきと味を占めた狂人的放火魔ロナルド・バーテル(ドナルド・サザーランド)との絡みを持ちこむ為に火に憑かれた男の共通点として考えたのでしょう。
相棒となるマギー・レニング(アリーシャ・ベイリー)も消防士で火事場泥棒の前歴を持つ設定、どうして感情移入をあえて阻むような妙な細工を講じたのか、理解に苦しみます。
新型ミサイルの試作品横流しを巡って証拠隠滅の為らしい放火事件が続出しますが事件の背景はFBI捜査官がホットドックを食べながら主人公にペラペラ語るという信じられない手抜き演出。
結局、現物は処分したものの事件の真相は曖昧なまま、広げた大風呂敷は畳まないから火遊びだけのB級サスペンスになってしまいました。