ターゲット・イン・NYのレビュー・感想・評価
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イスラムへの誤解を解きたい・・
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対テロリストのアクション映画の装いを纏っているが、イスラム教徒イコール危険分子という誤解を解きたいと言う切実なイスラム教徒の悲痛によってつくられたような米・トルコ合作映画。
NYで暮らすイスラムの宗教家ハッジ・ギュムシュが過激派の首謀者としてFBIに捕えられ母国トルコに移送するためアチャールとフィラットの二人の刑事が派遣されます。ハッジは果たして真犯人なのでしょうか、実はフィラットとハッジには浅からぬ因縁があった・・、前半はアクション基調で飛ばしますが後半からはヒューマンドラマに一変します。
ハッジはイスラム教の指導者にもかかわらず妻マリアはクリスチャン、スーパーマーケットを経営するビジネスマンでもあり娘想いの良い父でもあります、聖俗や政教分離主義のトルコならではのイスラム感が漂います。
「寛容な平和主義者のイスラム教徒もいるんですよ、教義がテロの根源ではありません」というメッセージを発信したいという製作者の思いは理解できますが邦題やポスターからしてアクション映画として誘導せざるを得ない映画興行の世知辛さもまた現実なのでしょう。たっぷりという程ではありませんが銃撃戦などは丁寧に撮っていますし遠景や群衆、祈祷のヘッドバンギングのシーンなど芸術性も高く決して安っぽいB級映画ではありません。監督・脚本・音楽のマフスン・クルムズギュルさんはフィラットも演じていました、製作に10年以上費やしたというから渾身の力作なのでしょう。
原題はクルドの民謡に掛けてNewYork'taBeşMinare(NYの五つの尖塔)」です。尖塔はモスクの象徴。
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