犬王のレビュー・感想・評価
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魂の叫び、無念を抱えし者共にとくと聴かせよ!!
Twitterの評判で観ることにした作品。小説原作なんだけど、映画のために生まれた物語と思えてしまうほどの完成度。
実在したことは歴史上確かだが、具体の記録が残っていない犬王をモチーフにここまで独自性があって芯のある物語に昇華させる力がすごい。
犬王は呪いが原因で人としての形を成さずに生まれたけど、
それがある行いで解けることがわかる。ここらへんは「どろろ」っぽい。
当然、時代設定上、平家の亡霊が関わってるんだけど、
平家の亡霊を恨みにのまれ、復習だけを望むおぞましい存在ではなく、
ただ此処に存在してことを、彼らにも物語があったことを
知ってほしい存在として捉えていたのが良かったな。
犬王と共に名をはせる琵琶法師が「トモナ」「トモイチ」「トモアリ」と
名を変えていくんだけど、ここにもちゃんと伏線があったの。ここも好き。
名に基づく信仰の精神が反映されている日本らしさが垣間見えた。
やばい権力者はいつの時代も大衆芸能を封じる
異形として産まれた能楽師の息子、犬王と
漁師の息子ながら、平家の因縁により
盲目となってしまった友魚(トモナ)とが出会ったことにより
型破りな舞と音曲が生まれ、大衆の心を掴むも
時の権力者の弾圧により2人の絆は絶たれてしまう〜
琵琶などの和楽器と現代の楽器を融合した斬新な音楽と
流石、湯浅監督と唸ってしまう躍動感あふれる動きに
圧倒されるミュージカル時代劇アニメ作品でした。
音楽を楽しむ映画はやはり映画館の音響で観たい!
そして、河原の民衆と同じ気持ちになれるように
映画館でたくさんの人達と一緒に観たい作品です。
コロナがもっと終息したら、一緒に歌って良し上映を
是非企画して欲しいですね。
で、大衆にあまりにも支持された過ぎた犬王は
やがて権力者からその舞と唄を封じられてしまう。
民衆に不誠実な権力者ほど、表現の自由を弾圧しようとする。
表現の自由の無い国がどうなっているのか?
それがもし現代の日本なら?そう思いながら観て欲しい作品です。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
時代劇のおもしろいところは、実際のことは誰もわからないのだから
想像力次第で何でもあり!のところ。
とは言えあまりにも絵空事ではアニメだから何でもあり〜〜
で片付けされてしまうので、昔から使われる舞台装置を再現し
あったかもしれない世界を作り上げているところは
流石に湯浅監督でしたね。
ただちょっと気になったのは、
異形として産まれた犬王が、新しい舞を完成させる度に
「どろろ」の様に人の体を取り戻すのですが
異形だからこそ出来た舞は2度と出来なくなってしまう。
それはそれで、異形を否定している様で少し残念な気がしました。
大事な友の命を守るため自分の信念を封印する犬王。
最後に何か権力者に一矢報いる描写があればカタルシスがもっとあったかも〜
大人たちの本気、見るなら前知識アリのほうが楽しめる
勉強不足、前知識もあまり入れず。故に映画に「打ち負かされた」感覚。もっと深く知っていれば、それが伝承を主題としたエンタテインメントだと気づけたのだろう。
とにかく強烈。湯浅政明監督に野木亜紀子氏の脚本、大友良英氏の音楽といったその道の強者が集っている時点で既に強い。更に、表現を学びに海外へとんだ経験のある森山未來さんと「女王蜂」として独特な世界観を確立させているアヴちゃんの共演。見事なまでに、才能が集っている。だからこそ、骨太で妥協なき世界を描けたのだと思う。
だが、一度でも蚊帳の外になってしまうと、引き込まれにくいのが難点。プラットフォームを問わない描写力、圧巻のミュージカル、そして、語り継がれなかった音楽の数々。狂騒するミュージカルであって、全てを咀嚼しきるのは難しい。まして、展開も大胆で早い。序盤は結構眠くて厳しかった。
しかし、中盤の見せ場はやはり強く掴まれる。理解した頃には遅かったのだと悟りつつ、当時の市民の高揚に煽られるかのように、私も心がうずき出す。なるほど、こういうことか…。原作では魅せることのできなかった世界を彼らは体現し、現代の技術で想いを馳せる。なんたる遊び心。
足利義満の声は柄本佑さん。エンドロールまで気づかなかった。音楽もほとんどをアヴちゃんが作詞、古典的な世界に二者をまとった歌声が響く。個々のパフォーマンスが凄いからこそ、浴びるコチラ側の準備がいかに必要か思い知られたのだ。
しかしながら、合わなかったのも事実。ミュージカルとしての慣れない感じは否めなかった。だが、一度観れば分かったことも多いので、きっと次は楽しめるはず。そう思わせてしまうのは作品においてマイナスに感じたので、このスコアとなった。
ストーリーと人物描写が薄すぎる。
期待してたんだよなー。本作。予告編が良くて。
海外のアニメーション作品が好きなのですが、いわゆる日本の「アニメ」とは雰囲気が異なる「アート作品」の印象が強いんですよね。だから勝手に自分の中で「アニメではなくアニメーション」と線引きをしています。本作は冒頭シーンから引き込まれて、アニメじゃなくて「これぞ和のアニメーション!」って盛り上がってたのに、犬王の演舞シーンあたりから失速開始でした。
おい、和はどこいった?そんな単調な描写??そんな動きを見るならオマージュ元の本家のライブ映像観ますよ。なんたる稚拙な。過去のアーティストのLIVE映像の動きをを切り貼りしてアニメーションにしただけじゃないかーー!でもって、カメラ位置はステージ前方の定点。え?NHKの歌舞伎放送ですか?そんなノリが何曲も・・・でもって歌詞がよくわからんし、メロディーにギター使わないでほしい。今の曲じゃん!雰囲気ないじゃん!。歌詞が昔言葉なだけでさ。単調なカメラワークで何曲も見せられると、マジで飽きてきます。
なんとなーーーくわかりますよ。古の時代のノリに現代を投影して、異形の煌めきを描こうとするのは・・・。でもそれじゃぁさ、現代のエンターテイメントやアーティストが過去にタイムスリップするのと何が違うんだろ?てか、そーいうことじゃん。
百歩譲って、観客に受け入れられた音と演舞が現代っぽいってのは良しとしよう。でもねそれが生まれたのは「なぜ?」そこに至るまでのカタルシスが少なくないかい?そいつらだから出来ました!みたいな感じがストーリーを薄っぺらにしていると思います。だからラストに至る二人の動機が全然伝わらないし、ラストシーンになんら感動が生まれないのです。曲が多いからミュージカルってわけではないと思いますよ。しっかりストーリー作ってほしい。
あとさ、やっぱりさ、ちゃんと本職の声優さん起用しましょ。感情が伝わってこないです。下手すぎて。叫びシーンなんて聞いちゃいられない、がっかり。でも、アヴちゃんはよかったな、ハマってた。
なかなか奇抜
化学反応
評価外という事で。ワカラン体験はワカランままが良いってヤツですな♪
史実がベースにあるこういうの好きだし、原画(デザイン)も動画も音(音楽)も声も良かった。人に寄っては途中で眠くなるかもしれないし、「新しい芸術」がまんま洋風なのも少し残念に感じる(私は感じた)かもしれないけれども、不思議な体験を入り口から出口まで感じさせてくれたのは、最高だと思えました(他に言い方ないもんかね…)。
原作者が一緒なので(あ、スタジオも)TVアニメの「平家物語」を視ておくと地続きな雰囲気を味わえますが、特に必要はないでしょう。なぜならば肝心の歌が二人とも聴き取りにくい事この上ないもので。まぁ、それはワザとだと思うので、作中のオーディエンスと一緒にノリで流しましょうね。
広く受けを狙いにいかない湯浅政明監督、好きです。
マッハ10どころか時空超えを期待したのだが…
アニメでしかできない世界
お前たちの物語を一人残らず聞いてやる。
室町時代の実在した能楽師犬王の物語、それだけの前知識。声も誰なのかさえも調べずに。
端っから、キャラクターデザインのしなやかさな体躯に魅了され、気分を掻き立ててくる音楽に乗せられ、この声は!と小躍りし、ほう、義満か、観世かと時代を確認し、憑き物が剝がれていくように美しなっていく犬王を追いかけていった。まるで、熱狂する群衆たちと同様に魅せられていた。
見事だった。将軍までも魅了した、謡いと舞い。さしずめ、盲目のロックスターと異形のダンサーをフロントに押し出したパフォーマンス集団。大がかりな舞台装置にも圧倒され、コール&レスポンスでトランス状態に陥る観衆たち。スクリーンからあふれてくる音楽は派手な現代のものであっても、犬王たちのパフォーマンスを目の当たりにした人たちが感じた衝撃を例えれば、まさにこのくらいの圧倒的な強度をもった刺激を受けたんだろうと想像できる。そりゃ熱狂するわ。
そして、なぜこれほど受け入れられた犬王が後世に名を残さなかったのか、それもわかる。施政者としては困るのだ、無秩序が。そして抑えきれぬほどに民衆が暴走することが。だから、並び立っていた南北朝の統一にあわせて、各地に散らばっていた平家の琵琶語りも統一させたのだ。その象徴としての幕府のお触れ。「覚一本」がそういう時代背景のもとに成立したのか、と目からうろこだった。ちょっとそのあたりの真偽を調べてみたくなった。ついでの、原作のに古川日出男の原作も読みたくなった(といってすぐにポチる)。
こうしてレビューを書いている自分のすぐそばにも、いまだ600年も成仏しきれぬ犬王と友魚の魂が彷徨っているような気がしないでもない。
さほどハマらなかったものの、
町衆とともに歌えや踊れや楽しめや!
キャスティングが何より素晴らしい。女王蜂アヴちゃんの中性的な声と、カリスマ性と表現力がなければこんなに躍動感のある室町ロック・オペラは生まれていない。
そして、コンテンポラリーダンスの名手森山未來のリズム感の良さと演技力が光る。
2人の声優の相乗効果に胸が高鳴る。
美とグロテスクが入り混じるスペクタクルなアニメーションは、よくぞこんなものを作ってくれたと感謝しかない。
歌の歌詞が字幕で出たら更に良いのになと思ったし、特別音響やIMAX、ドルビーアトモスでライブシーンを楽しみたいと感じた。
でっかいクジラはじめ、3箇所くらいクスッと笑ってしまったのは、あまりにQUEENのロック・オペラを狙いに行ってるから。
まあそんなところもわかりやすいから、誰もが自然と室町時代の民衆になり切って身体がリズムを刻めるのかもしれない。
日本のアニメは本当にすごいなとまた背筋が伸びた。
実写化不可能なアニメーションの世界観を存分に楽しみ浸るにもってこいだ。
余談としては、実写映画化はして欲しくないのだが、舞台化はして欲しいと思った。
既に劇団新感線の舞台にも出演している森山未來が舞台で演じる姿が浮かんだからだ。
アヴちゃんが舞台で妖艶に歌い踊る姿も想像してしまった。
時代物とロックミュージカルの融合のお得意ないのうえひでのりさん、何とかしてください!
と思いつつエンドロールを 眺めて映画館を後にしました。
期待はずれの胸焼映画
芸術と残された想いを
凄かった
もう豪華コラボはいい、という気が。
まったくのれなかったこの豪華コラボ。
古川日出男の原作、野木亜紀子の脚本、湯浅政明のアニメ、松本大洋のキャラクターデザイン、音楽を大友良英、アヴちゃん&森山未來、、なんだか『バブル』もそうだったけど、豪華スタッフ並べればいいってもんじゃない感満載だった。
最後の最後で、ああ、いい話じゃないか、と思ったりはしたけど、いかんせん序盤からの掴みが悪過ぎる。よくわからないけどテレビドラマの脚本家がアニメの脚本をやるメリットってあったのか?ってくらい掴み悪い。というか、そもそもドラマ的要素は薄いし、かといって縦横無尽の描写って訳でもなく、なんか各パートがおっかなびっくり力を出せてない感じ。特にかなりの時間を割いて描かれるライブシーンは、音楽も描写も古くさい。悪くいうとダサい。湯浅アニメでダサさを感じるなんてなんだろう。クライマックスの竜に至っては「稲村ジェーン」を思い出した。
室町時代の芸能を現代(と言ってもひと昔前)風にっていったいいつの時代のアイデアなのかだけど、音楽が良くない。「花束みたいな恋をした」も良くなかったけど、好みもあるかもしれないけどあまり乗れない歌と踊りの繰り返しが延々続くところで心がアウトした。ひょっとして楽曲が斬新ならここで掴めていたのかもしれない、というところがこの豪華コラボの居心地の悪さなのかもしれない。これだけ音楽勝負の作品で、それは致命傷かと。
マスクの美人効果は由々しきこと
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