「映画が人に元気を与えるという一面は否定しないけれど…」犬王 あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)
映画が人に元気を与えるという一面は否定しないけれど…
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コロナ禍で鬱屈した空気が蔓延した世の中に、なにか華やかなものを届けたい、といった気持ちがあったのかもしれない、という印象。
琵琶法師が伝えたといわれる平家物語。じつは、当時はもうひとつの平家物語があった、というストーリー。
平家物語は1222年ごろに成立したという。原作は2017年で、映画は2022年に公開。およそ800年前ということになる。題材として取り上げるには区切りのいい時期だったと思う。
琵琶法師の活躍を描いている。いわゆる琵琶法師的な音ではなくて、ロックバンドのような活動をして、民衆に熱狂を持って受け入れられる。音楽はクイーン調。これはLGBTを意識したのか、もしくは当時は女装する人もいたということなのか。
当時、おそろしく斬新なムーブメントがあったのだ、という題材なのだが、こういう題材はさほど斬新でもない。前述のように、音楽はクイーン調だし、やっていることは「どろろ」だし。
人は不完全な生き物だが、それをバネに強くなれるとか、表現することによって自分を取り戻すことができるとか。そういう表現というものは、時代にそぐわないものであったとしても大切にしていかなくてはいけない、みたいなまっとうなメッセージを感じる。
やはり、コロナによって失ってしまった人としての活力を取り戻したいという気持ちがあったんではないかと思う。そういう気持ちは悪くないのだけど、もっと強烈なイマジネーションを見せてほしいというのが正直なところ。
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