「終盤に演出が大人しくなっていくのが残念なところ」犬王 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
終盤に演出が大人しくなっていくのが残念なところ
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奇抜な演出と設定での摩訶不思議な世界の構築は、あまり観たことはないけれど湯浅政明監督の作風そのものなんだろうな。
今敏監督と片渕須直監督が混ざったような、虚と実が入り乱れる感じはとても面白かった。
しかしなあ、終盤になり物語が収束に向かっていくと、犬王の体が元に戻るのと比例するように、奇抜な演出も薄れていって、あまりに「普通」に落ち着いてしまったのは残念。
犬王と友魚の関係性が最終的な物語の落とし所なのだけど、その描写がちょっと不足気味でして、終盤にドラマチックさがイマイチ生まれてない。演出が大人しくなり、代わりに盛り上げるドラマチックさが上がらないのでは、尻窄み感が出てしまう。
エモーションが犬王と友魚の舞台に集約されすぎててドラマ部分に足りてないんだよな。
スタートダッシュを決めたからこそ余計に、薄まっていくドラマ性を残念に感じるんだよな。
とはいえ、なかなか面白かったと言っていいんじゃないか。
アニメーション映画の場合、アニメーションでしかやれないようなことが観たいと常々思っているが、その個人的な望みは叶えられていると感じた。それだけでも充分に及第点。
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