「この映画がまさに犬王で皮肉」犬王 konさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画がまさに犬王で皮肉
まず、ブロマンス好きなので犬王と友魚の関係性に星5です。
星をひとつ減らしたのは音楽。二人のパフォーマンスがキモの映画なのに、曲がいまいち。アヴちゃんの声でなんとか保ってますが…。女王蜂に曲は担当してもらった方が良かったのでは?
どの曲もあまりにもネタ元そのままで、犬王ならでは!というオリジナリティがあった方がよかったと思います。例えば和楽器バンドっているじゃないですか。和楽器でロックは作れます。ロックにしたい解釈は有りだとして、西洋の楽器を鳴らさなくても琵琶で作れたはず。その方が絶対かっこよかった。この、和楽器で犬王オリジナルのノレる曲が作れていれば傑作になったはず。
でもパフォーマンスパートもちょっと長すぎた。良い曲だとしてもあれは長い。野木さんが書いた犬王と友魚の交流パートは結構削られたらしいが、そっちを映像にしてほしかった。映画はやっぱりストーリーです。歌詞が重要で削れなかったなら、パフォーマンスパートの映像からストーリーに入って、バックで歌を流すとかそういう方法もあったはず。
とにかく惜しい!!ただ私は曲パートが冗長でネタ的という前情報を知っていたので、それなりに受け入れて観ました。
犬王と友魚のキャラが良すぎただけに、実に惜しいですが、アングラ映画として長く人気となるでしょう。アニメ映画の正史とはなれなかった。でも熱狂的なファンは生まれた。これがまさに犬王と友魚そのもので、皮肉。
ディレクターカット版では、カットされた二人の交流を沢山入れてほしいですね。
(追記)
脚本家野木さんのインタビューを読んだら、監督に対して腹が立ったので追記。野木さんによると楽曲担当の方は当初和楽器メインで曲を作ったのだそうです。でも監督がイメージと違うと言ったそうで…。「完成を見たらもう能ですらないしゃん!プロデューサーも誰も、こんな風になるとは思ってなかったんじゃないかな。」だそうで。「打ち合わせでフェスとかポップスターとか監督がしきりにおっしゃってましたが、例えだと思うじゃないですか。」など、柔らかくおっしゃってますが…ねえ?私の感想と同じ事思ってらっしゃるかと。
それに、和の文化より西洋!と結論づけてしまっている事に監督は気づかなかったのかな。
監督の暴走を誰か止められていれば傑作だったのに…