「ラストも納得!」犬王 にゃ王さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストも納得!
物語は史実と空想を織り交ぜ、舞台は過去から現在迄の最高を詰め込んでいる
アニメで出来ることをやり切ろうと引っ張って行ってくれる筋力が好き。作画の熱さと落ち着きのバランスが秀逸。 全てがお手本で、映像表現には斬新な芸術性を感じた。声の演技もリアルで引き込まれる。
猿楽に対する描写への敬意も感じられた。芸を極めることの難しさ。桜の中で舞う犬王最後の舞も儚く哀しくて美しい。今までの派手で自由で長い時間をかけて描写した舞台との対比が際立つ。
主人公達が不遇やハンデをものともせずに努力と準備で乗り越え、大衆を惹きつけていくさまはいつ観ても爽快。
犬王の歌は鳥肌が立つ程見事。友有の歌も素晴らしく、なにより気持ちが伝わってきた。
観賞中、ストーリー終盤の展開は納得できず置いて行かれた。犬王が顔を取り戻してハッピーエンドで終わって欲しかった。
しかし「友有は不屈反骨のロッカーになったこと」「犬王は友の為に幕府の要求に従ったこと」「最後の舞台で流れる竜中将のラストフレーズと二人の出会いのシーンやエンディングで流れる曲にて繰り返されるフレーズが同じ気がすること」にあとから気付いたので納得した。大変美しい終幕だったと思う。
二人の出会いのシーンやエンディングにて流れる曲で繰り返されるフレーズの竜中将での歌詞は「我らの心共に此処に在り」。折角人気の絶頂に辿り着いたのに、幕府に潰されてしまう。そうして引き離された二人が、600年後に再会する。友有は死んでいない。記録になんか残っていなくても、友有座は不滅だ。
出会った頃のわくわくする気持ちが何よりも大切で、そんな相手と心を通わせる幸せ。熱い勢い。大切なことを教えて頂いた。