「90分ではとても足りない」犬王 toomeさんの映画レビュー(感想・評価)
90分ではとても足りない
湯浅節ならではの痺れるアニメーションと、アヴちゃんでないと成し得なかった歌い語り。琵琶の響きとロックの心地よさにミュージカルシーンではもっと弾けるかと思いきや、敢えて肉体一つで描かれる場面も多かったので、ストイックな描写がジリジリとこちらの欲求を焦らしてくる。(語りを聞く力が必要なので、追いきれなかった場合は歌詞カードを読むとなるほど合点がいく)
度々繰り返される振付は、人々に語り継がれていく様を表しているのか。その効果もあってラストシーンは強く心惹かれることに。
当時の民衆にとって見物は至高のエンターテイメント。そこに湯浅アニメーションが現代のエンタメ沼に浸されきった私たちをぐっと引き寄せ、沸き立たせてくれる。
語り継がれてきた物語が題材なだけに登場人物を深掘りするわけではなかったので、人物像を追いたい人には少し物足りないかもしれない。でも必要なことは手際良く収められているのであまり気にしなくて大丈夫。
もっともっと爆音で、
もっとずっと長く堪能していたかった。
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