「「俺に関係ないものは何一つねえ」」藍色少年少女 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
「俺に関係ないものは何一つねえ」
認知度は低いようだが、「隠れた宝石」と賞賛すべき佳作。
主人公の少年テツオが、途中でボソっと「俺に関係ないものは何一つない」といった、謎めいた台詞を吐くのだが、その意味は映画の終わりになって明かされる。その台詞通りに、テツオが様々な形で、獅子奮迅の働きをする姿が描かれる。
自然の中で満足に遊べない福島の子どもを招き入れる「保養活動」だけでなく、藤野で活動するアーティスト達、ワルな番長、亡き戦友を想う老人、さらには“スナフキン”までも登場する。
観ていて目が回るような“てんこ盛り”の内容で、2時間以上の映画なのに、最後まで息の抜けない密度の高い展開が続く。
そして、様々なベクトルが、テツオの忙しすぎる「8月30日」を通じて、一つになって結末になだれ込む・・・。
堅苦しい映画ではなく、ユーモアも随所にちりばめられていて、映画館ではしばしば笑いが起こった。
モノクローム映画という触れ込みだが、少なくとも映画の前半は、題名の通り、微妙に藍色がかっているように見えた。
色を消すことで、観る者は心のドラマに集中し、「青い鳥」という大人のための童話世界に導かれるのである。
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