「どういう映画なんだろう」チョンティチャ MOTTOさんの映画レビュー(感想・評価)
どういう映画なんだろう
友人にも恵まれて、家族から愛されてない訳でもなく、主人公がずっとイライラしてる。「あなたには分からないでしょう。思春期のハーフ女子は複雑なのよ」って言われてる気分。多分そこを描いてるんだろうけど心情描写が雑すぎる。僕がハーフの女子高生じゃないからかな? けどハーフの女子高生に共感させてもしょうがない。いろんな人種のいろんな性別の人達にも伝えるのがこの映画でやるべき事。ハーフの女子高生じゃない僕でも理解できるように作って欲しかった。
“日本に住むミャンマーとタイのハーフ”っていういくらでもこねれそうな設定なのに、全然活かしきれてない。セミを食べることぐらい? けど日本でもセミ食べる文化はある。
女子高生が主人公の映画にありがちな、ラストで思いの丈を叫ぶシーン。もちろんこの作品にもあって、そこで彼女の今まで我慢していたものが爆発する訳だが、その“我慢していたもの”がいたって普通。まあ100人中100人が考えるよねっていうラストと捨て台詞を吐いて終了。そして次のシーンでは勝手に自分でスッキリして自転車漕いでる。多分作り手は登場人物達のことを考えてないと思う。そして観客のことも。作り手が、自分の思い通りにならくて不満な日常を映画で鬱憤晴らしをしてしまった様に僕は見えた。
綺麗な映像はなく、意味のない長回しが多くてとても退屈。構図も気持ち悪い。とにかく人が映ればいいみたいな雑な照明。照明にしろカメラにしろ、役者の表情が映るのは当たり前。そこから綺麗な映像を作っていくのが技術者だと思う。映像美じゃないから!内容だから!って言いたいんだろうけど、じゃあラジオドラマでいい。心に残る映像あっての映画だと思う。
アダルトコーナーに行ったり、セミ食べたり、こんな奇抜なの撮っちゃいます〜っていうドヤ顔が画面越しから伝わってきた。あと余談だが、セミ食べるときは羽取ってねと。
主役の女優さんは素晴らしかった。パワフルなものが演技の中にあったと思う。
田辺・弁慶映画祭の入賞作品と聞いて観たがちょっと疑ってしまう。時代的にリベラルな作品がウケるからウケたのかな。けど僕にはどう噛み砕いても理解できなかった。痒いとこに手が届かないという感じじゃない。痒い所がなかった