「ドリーミング・メッテ・ホルム」ドリーミング村上春樹 akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
ドリーミング・メッテ・ホルム
原題はドリーミング・ムラカミ。
恵比寿ガーデンシネマでみた。
世界一の幸福度をフィンランドと競う国デンマーク。北欧、東欧、西欧の中心に位置する。ドイツの上、ノルウェーとスウェーデンの下の島だらけの国。国土面積は日本の約11%。人口は日本の約1/20。
かのデンマークでも人気の村上春樹。世界50ヵ国以上で翻訳されているという、その熱気を少しだけ理解した。一ファンを超えて村上春樹伝道者であるメッテ・ホルムと村上の関係は、松岡佑子とJKローリングの関係に少し似ている気もする。
この映画には一秒たりとも村上春樹本人は出ない。熱烈な村上春樹ファンの若いインド系の男性監督が、あくまで同じデンマーク人で年上の異性のメッテ・ホルムに密着取材したドキュメンタリー。国際的で、ジェンダーレスだ。
日本に取材にきている部分が半分くらいか。繁盛してない寿司屋など、日本では見れない映像を見れた。
上映時間は1時間と短く、関わった製作スタッフもかなり少ないと思われる。パンフによると日本での公開も当初は予定されてなかったと書いてある。つまり、英語圏向けの低予算ドキュメンタリーである。
CGのかえるくんがリアルで不思議な雰囲気を出している。ただ、このキャラクターの台詞は、機械音の男性が喋る日本語で、音が加工してあり演出に違和感を感じた。
内容は、コアなファン向けのもので、一般の方にはほぼ分からないだろうと私は感じた。
JKローリングも受賞しているアンデルセン文学賞を村上春樹が2016年に受賞したので、王立図書館の大ホールで村上と翻訳者であるメッテが対談するという、大イベントの開始直前までを映画は切り取る。
すこし緊張感がある。
この辺りは、事前に知っておいた方が良かった。すごく大事なことだ。
対談の内容はものすごく気になる。しかし、メッテ・ホルムという、偉大なる読者にして、村上春樹の理解者が異国デンマークに生まれたことこそ興味深い。各国の翻訳事情なども興味のそそられるテーマだ。
残念ながら、私は「かえるくん、東京を救う」を読んでいないため、ところどころ、すごい疎外感を感じたのだった。必読の書だということを恥ずかしくも知らなかった。
いずれ、また鑑賞したい。
この作品を見たくても、もはや見る方法がわからないでいます。
「かえるくん〜」はとても好きな短編で、世の中の悪に対する村上春樹さんの思想(みたいなもの?)がよくわかる話ですね、もう今は読まれているでしょうか。