「役者は良し。ストーリーが残念だが、なんとか仕上げた作品」踊ってミタ スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
役者は良し。ストーリーが残念だが、なんとか仕上げた作品
「町おこし」「踊ってみた」「ボカロ」って、相当に「いまさら?」ってキーワードの青春群像劇。東京で落ちぶれた広告マン(岡山天音)が地元の役場に勤め、同僚の同級生(武田玲奈)や、アイドル崩れの女子高生(加藤小夏)らと「踊ってみた」で町おこしをする、という話。
役者はとても良かったです。
主演の岡山天音は、どこまでいっても「クズ」な奴。これっぽっちも、良いことを言わない。こういう主人公って新しくて良かったです。
同僚役の武田玲奈は、しっかり演技しています。岡山天音が役どころ同様にいい加減なので、この話の狂言回しとして、支えています。ダンスも上手いし、モデル出身でスタイルもgood。よく見れば可愛い役、って地味子ちゃん役が似合っています。
加藤小夏は、超絶美少女。猫目の小顔で、手足が長くて、、、、。CMとかで使えそうなタイプです。演技は、まあ、地の演技でしょう。良い作品に出会えれば、ブレイクもありそうな子です。
と、まあ、ここまではネタバレ無しの良いところ。で、やっぱ、点数が2.5点なのは、ストーリー。以下は、ネタバレで。
一応、起承転結はあります。途中は崩壊していますが、奇跡的にラストはまとまっていて、辛うじて映画にはなっている。ただ、致命的なのは、岡山、武田、加藤の主要キャラの「動機」が弱すぎること。
岡山天音は東京で全く才能無しと言われ都落ちしてきた訳です。じゃあ、町おこしをして「見返してやる」「やりたいことを思い出す」「自分を取り戻す」といったゴールがあるか、というと無い。ラストで武田に「好きだ!」と告白するが、武田の返しのセリフのまま「ここで言うかよ?」なんです。どこで惚れたのかが分からん。
武田玲奈は岡山のことが「幼馴染で昔から好きだった」というのは、まあ良い。でも少しぐらい「守ってくれた」とか「足が速い」とかあるだろう。「今はダメ男でも昔は良いところが〜」的なものがあり、それが何かのきっかけで「昔の彼みたい」で惚れ直す、ってのが王道でしょ?それが「イケメンだから」って適当な理由じゃ〜。変態町長とその娘と絡むシーンは、ありゃ不倫か?と期待したが、何だったんだ?
加藤小夏は「ご当地アイドルでセンター」だったのが「親の反対で脱退」。地元の高校でも「元アイドル」でいじめられる。で、そこから抜け出したしたい、ってとこは良いさ。でもそのきっかけが「町おこし」か?何の説得力もない岡山の誘いに乗るか?ラストはいじめてた同級生の一人と和解してダンスを踊るが、これだってもっと伏線張れよ〜。Vtuberの中の人ってのも、なんも回収されていないし。
どうしても、この主要キャラが「青春」にも「群像」にならない。所詮、町おこしなんてそんなもんだ、ってシュールさを売るようなオシャレな映画でもない。だってテーマがいまさらニコ動でっせ。
プロットとしては成り立っているのでしょうが、何を伝えたかったのかが、伝わらなかった。プロットのあと、キャラ毎の設定をちゃんと作らずに脚本を作ったんかな〜。で、さすがに最後は「ヤバイ」ってなって、本気でまとめたんかな、と。