「シーンに1つの無駄もない傑作」燃ゆる女の肖像 Kikiさんの映画レビュー(感想・評価)
シーンに1つの無駄もない傑作
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「観察」を通して育まれる愛情。
こんなふうにじっくりと他者を見つめる機会が、現代にあるだろうか?
静かで、丁寧で、動きも場面も多くは変化しないけれど、発する言葉と吐息、キャンバスを走る木炭の音、衣擦れ、どれも心地よく耳に入ってきたし、描写もとても美しかった。
女性がイニシアチブを取れない時代にありながら、男性がほとんど登場しない。オープニングの、男たちの船上での冷たい視線。男のいぬ間に中絶する少女。父の名を借りて作品を発表する画家の主人公。
ひとつとして無駄のない、美しい傑作を観ました。
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