「ロングドレスごっこに思いを馳せる」燃ゆる女の肖像 mikyoさんの映画レビュー(感想・評価)
ロングドレスごっこに思いを馳せる
18世紀フランスで貴族の娘と彼女の見合い肖像画を描く画家との恋愛映画。
画家の視点で、映像が絵画のように美しい。それは例えば壮大な海だったり、光源の少ないキッチンだったり、白い布のかかった居間においてあるチェンバロだったり、黒い布の服をきたモデルの貴族の娘だったりする。
恋愛ストーリーはことこと煮込まれていくようで、どういう結末を迎えるか知っているのに行方が気になって引き込まれてしまう。
同時に象徴派のように謎も多い。いくつかの謎ははっきり回答がでないまま映画が終わる。
ストーリーの要素として男性との関係(結婚など)が大きな比重を占めるにもかかわらず、この映画にはほとんど男性が出てこない。それだけではなく、覚めて正気にもどされるような引いてしまう要素がない。不思議と勝手知ったるといったような心地よいノスタルジーを感じた。
最後になるが邦題も素晴らしい。ちょっと時代を感じる古めかしい言葉遣いや、ロマンでありロマンスであることを理解できる題名で、不要な副題もなくていい。
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