劇場公開日 2020年12月4日

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「画と音の圧倒的な美」燃ゆる女の肖像 yookieさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0画と音の圧倒的な美

2020年12月20日
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鑑賞方法:映画館

燃ゆる女の肖像-今年ベスト級の映画に出会ってしまった。全てのシーンが絵画のように美しい圧倒的な画の力…(冒頭の暖炉の前で煙草をふかすシーンから一瞬で虜にさせられる)そこに与えられる甘美な音の表現がまた凄い。キャンバスをはしる筆の音、暖炉で薪が燃える音、家具や床の軋み、蝋燭や煙草を灯す音、パンとワインを食する音、刺繍の針と糸が布を通る音、風や波の畝り、息遣い、瞬きの音すら聞こえてきそう…そんな静けさの中に響く無数の音に誘われ没入していく。それらの音が音楽へと変わる限られた場面では彼女達の感情の隠微が現れ、二人の心が燃え上がる瞬間に流れ出す歌はそれまでの静寂を打ち破る、緩急という言葉ではおよそ片付けられない鮮烈な、鳥肌が立つシーンだった。そして彼女らの眼差しとスクリーン越しに目が合う瞬間、じわりと身体の奥底が熱くなるのを感じた。息をのむエンディングはcall me by your nameのそれと並び称したい。大げさじゃなく全人類に見て欲しい傑作。

yookie