「恋の先に」燃ゆる女の肖像 ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
恋の先に
近くの映画館でかかってないので、舞浜までやって来た。夜の上映なので、帰りはちょうどランドから流れてきた人で、駅は混んでた。若者は、どんな状況でも、遊びたいんだね。君たちは感染しても軽いんだろうなー。うらやましいっす。中高年は本当に注意します!
危険を犯してまで観に来たよ。良かったよ。満足した。いい時間をありがとう!
まず、海がすごい。色といい波といい、世間から切り離された感がある。次に音。波の音、雨の音、暖炉の薪が爆ぜる音、木炭の音、筆の音、落ち葉を踏みしめる音。人が動いて出るものや自然のものなど、これがすごくいい。音楽つけなくても、充分にドラマティック。で、ここぞとばかりに、夜の焚き火を囲んで、不協和音から始まるアカペラコーラス。背筋がゾワっとした。さらにヴィヴァルディ「四季」の夏! 主人公たちは若く、まさに人生においても夏の時期。くー、洒落てる!監督、あなたのシモベにしてください!
最後のシーンのコンサートで演奏された「夏」、音が重くなくてはじけた感じがする。どこの楽団が演奏したのか、クレジットで確認したかったけど、字が小さくて読めなかった。帰ってから調べたら、エイドリアン・チャンドラーというイギリス出身のバイオリニストで、古楽器のアンサンブルグループで活動してるそうだ。音源が欲しくなってきた。
妻を振り返ってしまったオルフェに対する考察。「ヤング・アンド・シンプル」なソフィー。人間の感情を理由とするエロイーズ。マリアンヌは表現者の観点から見る。この時、エロイーズは、芸術家の性を知ったのかもしれない。それでソフィーを描かせようとしたのでは。男性が描けない、思いつきもしない題材、女性ならではの視点。見事なアシストだと思う。
見つめて見つめて、見られて見られて、いつの間にか落ちた恋。お互いに好きだけど、恋だけではどうにもならない。別々に歩むしかない。でも、恋の先に何かがあるかもしれない。時間が経っても、会わずとも、心の深いところに居続ける想い。ソウルメイトだ。そんな人に出会えるって、世の中にそうない。
本筋と関係ないことが気になるタチなので、つい書いてしまう。キャンバスって海水で濡れたらマズいんじゃないの? 真水で洗ったのだろうか。あと、意外に絵の具はちびちび使うのね。やっぱり高価なのか? 風が強い日用の薄いスカーフ、ねじって頭に絡める、あの方法が知りたい。カードゲームのルールはどんなんだ。…わからなくてもいいことだけど(笑)
静かできれいな、美術館のような作品だった。自分はとても好き。
今晩は。ぷにゃぷにゃさん。
素敵なレビューですね。
しかも勉強になります。
”エイドリアン・チャンドラーというイギリス出身のバイオリニストで、古楽器のアンサンブルグループで活動してるそうだ”
私は、自らの知識で書いたのみなのに・・。
更に言えば、この映画を観るために、(すいません・・、どれくらい時間が掛けられたのか分かりませんが・・)足を運ばれたという記述。
地方に住む私としては、”気になる映画を観るために苦労して足を運ぶ”方は何となく、好きでして。
更に言えば、オルフェに対する考察も、”成程”と・・。
今作品は、ずっと見たかったのですが、年末でしたので、一時間列車に乗って行く時間がなく、昨日漸く観れました。
そして、観て良かった・・、と思った記憶に残る作品になりました。「詩人の恋」もギリギリ観れました。(いつか、観れますよ・・)
ここからは、個人的見解ですが、映画って”映画館で観たいのだけれども、物理的に見れなくて、漸く観れた映画”って、今作は別格として、記憶に残る気がします。
私は、それでも恵まれている方だとは思います。
例年と違い、旅に出ることが出来ないので、初めての年末地元映画鑑賞を楽しもうと思っています。(でも、片道一時間・・)
長くなりました。では、又。
返信不要です。
ぷにゃぷにゃさん、コメントありがとうございます。海、すごく美しかったですよね。あと薄布のスカーフ、私も気になりました!素敵!バイオリニストまで調査なさって素晴らしい。古楽器系の人なんですね。色々教えて頂きありがとうございます!