劇場公開日 2020年11月28日

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「グローバリズムへの抵抗の一撃」バクラウ 地図から消された村 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0グローバリズムへの抵抗の一撃

2021年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これはすごい。グローバリズムの時代に強烈な楔を打ち込んでいる。この映画で描かれる村は時代遅れで、野蛮な連中と言えるかもしれない。しかし、それもまた人の文化であり、尊重されねばならない。ネット上の地図から消されたことをきっかけに次々と恐ろしいことが起こる村で、村人たちは自分たちの村を破壊しようとする外部の連中に対して、一致団結して殺しにかかる。現代グローバルの価値観からは到底受け入れられない所業が後半描かれるが、この映画はそれを断罪などしない。これも人間の文化であると言い切っているように僕には見えた。
日本のアイヌ文化のことを少し思い出したりした。熊を育てて殺しイオマンテという儀式は野蛮だと今はみなされてしまうだろう。しかし、あれも少数民族の大切な文化だったろう。グローバリズムとは結局、強引に少数の価値観を洗い流す凶行なのではないか。凶行に対して、この映画の村人は文字通り凶行で対抗したわけだ。彼らの凶行は、マジョリティ側の乱暴さ、乱雑さをも浮かび上がらせる。

杉本穂高
pigeyesさんのコメント
2021年4月23日

これでアイヌ民族を少し思い出したり、とか絶対書いちゃ駄目。
ウドキアとUFO型のドローンが出てる時点で、この映画のテンションを読みとるべき。

pigeyes