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ヤン・パラフのレビュー・感想・評価
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そして「プラハの春」が始まった。
EUフィルムデーズ2019の一作目。
「プラハの春」を取り上げたチェコ映画。1969年1月16日、ソ連率いるワルシャワ条約機構の軍事介入、および受諾した政府対応への抗議から焼身自殺を図った、カレル大学の学生ヤン・パラフを取り上げたノン・フィクション。
ヤン・パラフはプラハから少し離れた地方に住む大学生。学生運動に、ちょっぴり首を突っ込んでます。と言うか、無縁ではいられない時代だったのでしょう。アルコールは嗜みません。専攻は哲学ですよ、この時代に。デモへ積極的に参加することはなく。ただし広場を占拠するソ連軍に反抗したりする、無謀な気の強さは持っている。また、アメリカ空爆に抗議したベトナム僧侶の焼身自殺に触発された様子が描かれます。親へは反抗的になることもあります。幼馴染を恋人にしながら、そのルームメイトと浮気したりします。要するに、普通の中の普通な感じなんです。
夏休み、フランスのワイン農場に葡萄の収穫のバイトに行きます。「今日はよく頑張ったな。これを飲めよ」。ロゼを勧められますが「アルコールは飲まないんだ」と断る、ちょっと堅物君的なところがあります。「アルコールじゃ無い、これはワインだ」。フランス人らしいジョークなのか、真面目に言ってるのか。地味に笑かすw
ソ連の駐留を受け容れた政府への抗議。クリスマス休暇で実家に帰っていたヤンは、講義再開の初日、自宅自室の曇った窓ガラスに母親への最後のメッセージを指で書いて残します。抗議の声明文をポストに投函。携帯ボトル2本に、2Lづつのガソリンを買い、友人に分けてもらったエタノールの小瓶をポケットに忍ばせ、現場へ向かいます。広場下、階段の陰でガソリンを頭から被り、マッチを擦る。一瞬で火だるまとなったヤン。政府へ抗議の声を上げる、最初で最後の「松明」。そして「プラハの春」が始まります。
期待値が低かったので、そこそこの満足度でした。むしろ二日目の予定だったキオスクが作品提供者の都合でキャンセルされたのが残念。
ストライキの続行か中止かを協議する学生運動首謀者達の会議が、実に冷静で論理的な協議だったのが意外。と言うか、チェコではそうだったの?日本の学生運動と言ったら、内ゲバ・怒号・暴力・リンチ・殺人、なんでもアリの印象だもんで。静かなリーダーたちの姿が印象的だった。
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