「怒り→碇」ガーデンアパート いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
怒り→碇
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人は安定を求める。それは地球に於ける重力に相当するかも知れないし、絶対的な何かに縋ると言うことかも知れない。フワフワした状態を望むのは若い頃のほんの一時のモラトリアム。直ぐに現実が襲ってきたとき自分の弱さを思い知る。そして地に足をつけることを課し、他人にも求める。無邪気に感情を爆発させたところでそれを受け止めるモノを探したがる。自分自身が重石となって自己解決できるのならばそれが一番理想だ。出来る人、出来ない人、その藻掻きをテーマとした映像作品と感じた、
そして、これ程鑑賞していて眉を潜める内容を構築した制作陣に敬服する。それは苛立ち、むかつき、その先の嫉妬。上映後のトークイベントにて監督が公表した今作品の過程に少なからず驚愕を覚える。それは組立てを自分の引き出しではなく、役者とのコミュニケーションの際に生まれたアイデアの積み重ねということ。映像美術をベースにしてる監督らしい切り取り方なのだろう。そのライブ感をもって、件の女監督はヒップホップ作品だと位置づける。子供が出来ない事を悩むこと、妊娠鬱に悩むこと、無軌道にその日暮らしを戒めずにいること、そして自己愛に取憑かれる総て。愛する事を忘れて、愛されることのみが至上の命題と骨の髄まで浸っている人間達の狂乱が今作品のテーマであり、村上龍的デカダンスに彩られたテイストに吐き気を覚える作品である。しかしそれは無味乾燥とは逆ベクトルだ。ここまでだらしない人間達を描き出した現役芸大生に嫉妬と戦慄を覚える。次回は是非、女優を脱がせて貰いたい
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