「終盤のおぞましい光景に身震いする」レベル16 服従の少女たち kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
終盤のおぞましい光景に身震いする
ある意味、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』とそっくりな設定でもある。と、これだけでも十分ネタバレ。外界から隔離された巨大な施設。レベル1(はあるのかわからない)からレベル16まで完全服従の女子教育が行われていた。彼女たちは7つの美徳、7つの悪徳を徹底教育され、何も逆らえない従順な性格を植え付けられる。
ちょっと見た目では集団監禁に等しい。起きてビデオ教育を受け、清潔が第一と洗顔が徹底されている。食事の後は当番制の清掃・洗濯など、とても耐えられないほどつまらない日常。プレイングルームみたいなものはあるし、週に一回の映画鑑賞(同じ映画ばかりで台詞を覚えてる生徒たち)もあるが、寝る前に“ビタミン剤”と言われる薬を飲まされ、就寝。これをずっと繰り返すのだ。
まず驚きだったのは16歳になった彼女たちは文字を全く知らないこと。そして、顔だけは綺麗に保つように教育されるのだ。最高学年のレベル16になると「養子にしてもらい、家族ができる」と言われ、金持ち夫婦が彼女たちを買いにやってくるのだ。ん、性的奴隷ではなかったのね、と一安心。だが、アジア系の少女ソフィアが胡散臭さに気づき、ヴィヴィアンを誘って脱走しようと計画を立てるのだった。
どうも『わたしを離さないで』とは違い、内臓移植ではないらしい。しかし、おぞましいCMを見た途端、整形手術で少女たちの顔の皮膚をそのまま移植するというクレージーな外科医だったことが判明。ミス・ブリクシルも少女の皮膚を移植したもので、優しかったウィリアム医師もその天才的手腕で彼女たちの健康を保っていただけだったのだ。
皮膚をはがされたリタの姿。そして光るカードを手に入れ集団脱走へ。人身売買はロシアン・マフィアが絡んでるようだし、絶体絶命のピンチ!そして、彼女たちを売った親の罪も嘆かわしいのだが、そうさせる歪んだ社会悪も描かれないままエンディングを迎える。せめて、エロっぽいシーンの一つでもあれば、もっと評価できたかもしれない・・・オヤジ趣味。前半のつまらなさを克服すれば、最後には楽しめます。