「不必要な脅かし無し。ホラーというより本格派よりのミステリー」サマー・オブ・84 maruさんの映画レビュー(感想・評価)
不必要な脅かし無し。ホラーというより本格派よりのミステリー
オタク的なキッズ、セクシーヒロイン、子供たちの育っている環境、一人暮らしの警察官、ベタベタの設定で始まったかと思えば、最後はきっちり硬派にオチをつける。
(ここで犯人にでくわす!?)という場面はけっこうあれど、スカしにスカされ、最後でがっつり絡んで、スカされたぶん回収するかのように。
おそらく続編があるだろうし、最後、猟奇殺人犯人が子供を生かした理由もわかる。
「少年を誘拐、監禁、追いつめて、追いつめて、最後には殺す、その写真を飾る」常軌を逸する猟奇殺人犯は、犯行声明を出して警察に探させるほど捕まらない自信がある。
「捕まってもいい」ではなく、「捕まらない」自信があった。その自信が、ほんのガキ(子供)に証拠を握られ、見破られ、プライドズタズタで、逃げに逃げる自分がみじめに思えてきて(あのガキ許さん!)と、子供を追いつめる。
ぽっちゃりの友達の首を傷つけ、「お前はこれから俺のことに怯えながら生きる。また会うまで」的なことを念押しして、逃げる。そして、映画は終わる。
猟奇殺人犯は、恐怖を植え付けさせたかったのだろうが、ラストではその子供に恐怖の面持ちはうかがえなかった。
第二作は、とても難しいと思う。
今作では、15才だけど、子供の成長は早い。
来年にでも猟奇殺人犯が襲いにこないと、17、8才では、返り討ちにあう体つきになっていてもおかしくない。(そのへんを防ぐために「オタク設定」というきゃしゃな主人公なのだろうけど)
かといって、2,3年後来られても「早くない?」と見る側は思ってしまう。映画的には、主人公が大人になって、家族が出来て、息子ができて、その息子を襲いに来るという風なところが、怖い。
なんにせよ、どう展開していくか?という意味で続編が楽しみ。
個人的には、首を切られたぽっちゃりの友達は、死んでいないと思う。
脚本的にではなく、映画であれ「子供が死ぬシーンを直接見せる」のは、よくないと思う。間接的な表現(影で殺されたのがわかる・悲鳴で死がわかる)はオッケーだが、やはり見ていて気持ちのいいものではない。
こういう脚本を書く、映画にしたスタッフ陣なら、きっと続編で生きているはず。