「笑わせ、ハラハラさせ、泣かせ、CGIによる地獄絵巻」神と共に 第一章 罪と罰 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
笑わせ、ハラハラさせ、泣かせ、CGIによる地獄絵巻
娯楽映画として良くできている。2017年末に韓国で公開されると1,440万人の観客動員数で、韓国歴代2位を記録。1,000万人というのは、日本での「ボヘミアン・ラプソディー」級である。
続編の"第二章"も昨年(2018)末に公開され、1,230万人で同国歴代12位(2019年3月現在)を記録。北米公開、東アジア、東南アジアと世界を席巻しての日本上陸となる。日本では2作品を2ヵ月連続上映するので、観やすいと思う。
韓国のウェブコミックの実写化で、仏教的な地獄絵巻になっている。まるで子供を諭すのに読み聞かせる絵本「地獄」のように、おどろおどろしい地獄が、3D CGIでリアルに目の前に広がる。
消防士のジャホンはある日、火災現場で、人を救助中に亡くなる。そんなジャホンのまえに3人の冥界の使者が現れ、地獄の裁判の弁護と、鬼や怨霊からの警護をするという。笑ってしまうようなスマートな地獄の判決システムを説明する。
人間は死ぬと49日で7つの地獄の裁判を受ける。"殺人"、"怠惰"、"嘘"、"不正"、"背徳"、"暴力"、"天倫"、すべての裁判で無罪を勝ち取ることができれば、現世に生まれ変わることができる。
人命救助を多くしてきたジャホンは、19年ぶりの"貴人"として、"転生は確実だ"と持ち上げられるが、裁判が進むにつれ、状況は変わっていく。
例えば、"殺人"地獄では、救助できずに亡くなった罪が問われ、また"嘘"地獄では、人の心を救うために付いた嘘が問われる・・・。
キャスティングも、韓国映画をこまめにチェックできている人なら、よく知った顔ばかり。
主人公ジャホンを「猟奇的な彼女」(2001)のチャ・テヒョン、冥界の使者カンニム役は「お嬢さん」(2016)のハ・ジョンウ。使者ヘウォンメク役を「アシュラ」(2016)のチュ・ジフン、閻魔大王をイ・ジョンジェなどなど。韓国のオールスターである。
日本映画でも、山崎貴監督の「DESTINY 鎌倉ものがたり」(2017)が、CGIで冥界を描いていた。家族との別れや再会シーンで涙を誘うのも定石だ。
加えて本作は単なるファンタジーにとどまらず、アクション要素がダイナミックで、作り込みも凝っている。
また尺が長いぶん、人間関係のプロットも重層的になっていて、次の展開が簡単には読めない。笑わせ、ハラハラさせ、泣かせ、第二章への積み残しもうまい具合に盛り上げる。
(2019/5/25/新宿ピカデリー/シネスコ/字幕:根本理恵)