彼らは生きていたのレビュー・感想・評価
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亡き祖父に捧げます
ピージャクのこの言葉で、この映画を製作した彼の思いと執念を感じ、そして感謝したい。
私の祖父も、かつて日中戦争に行き深手を追って帰って来た。私が幼い頃祖父に戦争の話を聞いても、話してくれたのは「中国の一般人は日本人を受け入れて、仲が良かった」などおよそ聞きたかった話をしてくれずいつも不思議だった。
祖父祖母が大好きだった私はよく泊まりにいくと、三人川の字で寝ていたが祖父がたまに呻いたり、ワッ!と飛び起きたりしていた。
祖父は怪我の影響で60歳前にこの世を去ったが、それから見せてもらった手記や祖母の話から、戦争で相手を二人殺めた事、爆弾でやられた怪我、そこから港まで命からがら数日かけて引き上げ、運良く停泊した日本船に乗って早々に日本に帰ってこれた事を知った。
それを知って私は涙が止まらなかった。
そんな話をどうして幼い孫に出来ようか。
祖父は帰国後もずっとずっと戦争の事で苦しんでいたに違いない。
私には優しくて優しくて手先の器用だった祖父。
貴方の物語をこの映画で見ているようでした。
今まで沢山の傑作戦争映画があった。プラトーン、プライベート・ライアン、地獄の黙示録、野火、ジョニーは戦場に行ったなど。
どれも強烈でその後の人生観に影響を与えるが、この映画は実写だけに胸に突き刺さるどころか自分の意識も肉体も爆弾と共に吹き飛ばされたようで、観賞後これ以上なくいかに戦争が愚かで、絶対にしてはいけない事だと悟らせてくれる。
アイドルや奇跡の連続のノーテンキな映画もいいけど、このような映画を世界中の若者が観るべきだ。そして我々大人が若者に観せるべきだ。
第一次世界大戦を体験する
1917を見たあとに見ました
☆☆☆★★★ 簡単に。 観終わって思ったのは、よくぞこれ程の映像を...
☆☆☆★★★
簡単に。
観終わって思ったのは、よくぞこれ程の映像を集めきれたモノだ…と。
それにしても、どの様な復元技術をしているのだろうか?単純にモノクロの映像にカラー補正を施しているだけではないのは分かるのですが…。
映像の技術的な事には全く疎い為に、サッパリ分からないのだけど。おそらくは物凄い技術が使われているのだろう…としか💦
エンドクレジットにで1914ー1918との記述があったので、そのくらいの時代に撮影されたフイルムだとは思うのだけれど。思うに、その時代のフイルムだと。1秒間のコマ数は24コマではなく、1秒につき16〜18コマあたり…だったと記憶してはいるのだが(多分💦)
サイレント映画の人の動きが早く見えるのはその為なのでしようが。それから考えると、この作品のスクリーンに映る当時の兵士の姿が、実に滑らかに動いているのが、本当に驚きでした。
ところで映画は全編で、当時の兵士のナレーションで構成されていた。
あまりにもその音にノイズのないナレーションだったので、当時の証言記録を役者さんがナレーションで演じているのだろう…と、思っていただけに。エンドクレジットで、延々と続く当時の兵士達の名前(英語が分からないので、観ていて勝手にそう思いながら観ていた。)に、居住まいを正す思いでした。
2020年3月2日 シアターイメージフォーラム/シアター1
第一次世界大戦の真の姿を伝える破格の傑作
『1917 命をかけた伝令』の感動も覚めやらぬまま、ピーター・ジャクソンが製作・監督した第一次世界大戦のドキュメンタリーと遭遇。これはとんでもない労作であり傑作だった。深く深く感動した。
記録映像と退役軍人たちのインタビューがシンクロし、イギリス兵たちにとっての第一次世界大戦がリアルに蘇った。
1914年の参戦、入隊、国内での訓練、フランスへの出兵、塹壕での生活、砲弾の爆音と激しい振動、おびただしい死体と悪臭、1着しか支給されない軍服、トイレもちり紙もない、シラミとの戦い、出撃、死にゆく仲間たち、死体の中の前進、殺戮、被弾、1918年の終戦、帰る場所のない兵士たち……。
イギリス兵だけで100万人、民間人を含め世界中で2000万人規模の死者がでた戦争だった。私は何も知らなかった。衝撃だった。膠着した戦況が戦争を長引かせ、いたずらに死者を増やした。
『1917』の伝令が救った兵士たちのほとんが、あれから間もなく亡くなったのだ。
それにしてもこの映像の鮮明さはいったい?
スピードが補正されシネスコサイズのナチュラルなカラー映像に!何しろ100年以上前のフィルムである。まさに奇跡の修復、そして着色。気が遠くなる作業だっただろう。
映画黎明期、奇しくもグリフィスが撮ったアメリカ初の長編映画『國民の創生』の公開が1915年だった。
「1917」と併せて観るべし
映像革命は時代を超えて
価値ある記録映画
彼らは歳をとらない
1917を見る前の予習として鑑賞。
これまでは映画なんかの作りもんであったり、白黒写真や手回しカメラの不連続で違和感のある映像でしか戦争の状況を知ることはなくイマイチ実感が湧かなかった。しかし、最新技術で色付け、滑らかにすることで、当時の様子を実際にその場にいるかのように生々しく描くことに成功していた。
前線でいつ死ぬか分からない地獄のような状態の中でも見せる笑顔が印象的で、彼ら若者の多くが歳をとらずに死んでしまったという事実に胸が痛くなった。
また、笑顔を見せる兵士の黒ずんだ歯の汚さが衛生面の悪さを際立たせていた。
実際に戦ってから、敵も自分たちと同じ生きて帰りたいと願う人間であることを知ったというが、そこまでしないと気づけないほど当時の国を包む熱気は異常であり、兵士達は理性を失ってたんだなと感じた。そして、戦後の彼らへの風当たりの強さにやるせない気持ちになった。
戦争は無意味と言うことに互いが気付くが、僅か20年で次の大戦が始まってしまった。なんて愚かなことなのだろうか…
技術だけでなく、見事な構成
1917 命をかけた伝令 を観る前に観るべし
第一次世界大戦の事実を知る貴重な作品
第1次世界大戦の記録映像を再構築して製作したドキュメンタリー映画。
100年前の映像とは思えないほど鮮明にリアルな戦場が写し出されている。
モノクロ、無音、激しい劣化の記録映像を、修復、着色し、音声や効果音を追加して、1本のドキュメンタリー映画として完成させ、
監督とスタッフの涙ぐましい努力が感じられた。
悲惨で過酷な戦場風景や、戦場の兵士たちの姿も写し出し、常に死と隣り合わせの戦場での生々しい兵士(人間)の姿を垣間見ることができる。生き字引たる元兵士達の言葉(解説)も、体験した真の言葉で心に重く突き刺さった。
ひとつ感じたこと、どこの国でも戦争は悲惨で命の無駄遣いたが、特に戦争時の日本の上官は兵士の命を大切にしていなかったな、と。
特攻のような片道切符の自爆作戦を考えた日本(日本人大将)はなんと愚かなのだろう。
We must not forget about the war.
みんなみんな、観たらいいな
なんら、楽しいことはない映画だけれど、みんなが、なんかの機会があって、観られるといいな、と思う。
第一次世界大戦の、ベルギーでのイギリス軍とドイツ軍の戦いを、残されている白黒フィルムと音声と着色した白黒フィルムで構成した、ドキュメンタリー。
意気揚々と志願して従軍し、戦地に赴き、前線の塹壕内で爆撃のプレッシャーにひたすら耐え、突撃し、相手を殺し、3/4が死ぬ、そんな十代の若者達の姿を、実際の死体も含めて見つめることには、なんらかの意味があったように思う。
捕虜にしたドイツ兵を「同じ人間だ。いいやつだった。彼等も俺たちも勝敗なんてどうでもよかった。ただ戦争が終わればよかった」と語る兵士達を、淡々と観ることにも、イギリスに帰国した若き兵士達が、空前の世界不況の中で、なんら感謝もされず、かえって冷遇されたというモノローグが、ただ耳に入ってくることにも、やはり意味があったと思う。
楽しさもワクワク感も全くない映画なので、大々的に薦めにくいのだが、みんながこの映画を観るといいな、と切に思う。知っておきたいことだと思う。
しかし、秒16コマのフィルムのはずなのに、なぜこんなにスムーズに映せるのだろう。技術って、凄いな。
人間はなぜ忘れてしまうのだろう
リアリティ
人類のアーカイブ。迷っておられるなら、騙されたと思って是非!
正直、「白黒をカラーにしてそんなに凄い?」と、舐めてました。申し訳ありません。土下座ものです。
最初、イギリス兵が徴兵され、前線に送られるまでがモノクロ映像かつ昔のテレビ画面比(4:3ですかね?)。ここまでは、正直若干だるく、あれ?あの、ポスターの、カラー映像は、いつ出てくるの?と、フツーのドキュメンタリー観てる気分でした。
前線に着いてから、一気にカラー映像かつワイド画面比に(恐らく16:9)!! これは、思っていた以上に、ビックリしました!急に臨場感が増す、と言うか、名もなき兵士さん一人ひとり、表情、歯の手入れ具合まで、イキイキ蘇って、そんな体験は勿論初めてで驚きました。単に色付けただけじゃ無くて、最先端技術でバリバリ加工されているのでしょうね、見易く、没入感が全然違います。
ちゃんと調べて無くてすみませんが、多分音も最新技術で加工されているのでしょうね、いい意味で綺麗に手を加えてある様で、兵士の証言も聞き易く、証言自体も吟味され映像とマッチしテンポ良く次々と進むので、カラーに変わってからは、画面の世界の彼らと一緒に居るかの如く、最後まで退屈することなく観終わりました。
途中からはバンバン死体や戦争で受けた傷痕も映ります。覚悟が要りますが、着色してもそんなにグロテスクさは強調されていない印象を持ちました。(個人的印象です、職業柄グロ耐性大です。だからと言って決して好きではありません。)というか、使う映像や着色の仕方によってはいくらでも残酷さを強調したり、グロテスクにも作れると思うのですが、だいぶマイルドに、抑えめに作成された様に思いました。多分、監督にとって、映像を残酷にしすぎてセンセーショナルに話題にされる事が主眼ではないですしね。そこを省略しすぎると残酷さが伝わらないだろうし、グロテスクにしすぎると一般のいろんな人が見辛いものになってしまって難しいですが、その辺りは、本物の兵士の証言を使っている所で、十分戦争の残酷さが伝わってきた、妙な表現ですが、絶妙なバランスかもしれません。
同情や感情移入では泣かないでおこう、良い大人なんだし、と思っていたのに、イギリス兵が、捕まえたドイツ捕虜と話してみたら、案外心通わせられたりするエピソードとか、兵士さんの笑顔とオーバーラップして、仲間がどんどん倒れて亡くなって、亡くなった仲間の遺体を踏み越えて進軍したエピソードが語られて、ただ戦争って、どっちにとっても只々虚しいだけだとヒシヒシと感じて結局泣いてしまいました。
最後、ジャクソン監督の「祖父に捧げる」クレジットで、また泣きました。
根気だ。
元兵士の語る体験と映像、と血。
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