「SFの奇抜さにだけ目を奪われた、既成概念のかたまり」HELLO WORLD nakajiさんの映画レビュー(感想・評価)
SFの奇抜さにだけ目を奪われた、既成概念のかたまり
これでは一般人がついていけないわ
SF好きのオタクにはドンピシャリだったんだけど・・・
データの世界というのは、言い方が変
過去と違った事象が起こるとデータが書き換えられる事から、一人一人が個性をもったヴァーチャル世界ですね
なんでデータなんて紛らわしい言葉を使ったのか?意味不明
余計ややこしくなる
キツネ面の制御システムが現実に湧き出してきた時点で、そんな子供っぽい事を京アニがする訳ないとSFオタクなら気づくのでこの世界もデータだなってわかるあたりからあっというまのどんでん返し
ラストはオタク心をくすぐりましたが、なぜ月だったのかが謎です
あれで結末の答えがあやふやになり、主人公の脳死の時期についていろんな仮説がでるはめになりました
また
タイムトラベル物の設定を変えただけみたいなストーリーなのはお粗末
それに、データの世界に心があるなら大混乱の中、多数の死者もでただろうに、その上リセットなんて血も涙もない仕打ちでしたね
そして、なにより許し難いのはタイムトラベル物によくあるんですが、動機が個人のエゴだとう事です
今回は過去のデータを使って恋人を蘇らせる話です
しかし、恋人はすでに死んでいます
蘇ったのは恋人と同じ過去の記憶を持つ別人なんですよ
SFでよく使われるクローン
身体は全く同じでも中身は収集したデータを脳に記憶させた者
今回はその身体がオリジナルなだけです
社会的には本人は生きているけれど本人は蘇ったりしない
死んだペットの毛皮を着たおもちゃを愛でる行為と同じ
自己満の極みです
それから、脳死の意味を間違っていますね
脳死は脳幹を含めて死んでいるので、呼吸や意識の伝達機能も働きません
今作の症状は植物人間状態です
医者でなくてもこれくらいは常識です
声優が”君の膵臓をたべたい”の北村匠海と浜辺美波
これは昂りました
特に浜辺美波
普通の声優がやればかん高い声でいかにもアニメになってしまうところ
抑えた演技で不器用だけれど芯のしっかりした文学少女を演じきった
キミスイのヒロインとはしっかり差別化されていて素晴らしかった
北村匠海と松坂桃李がアニメに違和感無く演じていたのとは対照的でした
福原遥はまんまアニメ声でしたねえ
というわけで内容については全く容認できない
SFとして可能性だけを追い求めただけの心の無いエゴイスティックな内容です
なにが愛のためなら世界が壊れたってかまわないだよ
現実世界じゃないからなんて中途半端な考えと既成概念に縛られたつまらない作品です
浜辺美波の演技以外、不快なだけでした
京アニは狂ってしまったのか
将来のAIとの付き合い方を含め、未来に悪影響を与えかねない作品だと思うので、社会を崩壊させかねない悪作だった”閉鎖病棟”と同等の観てはいけない映画に認定します
植物状態と脳死は、よく混同されますね。
SFとしてのガジェットやアイデアも、おっしゃる通り、新鮮味はなかったと思いました。
ただこの作品、制作は京アニではないとだけ。