「近年稀に見る駄作。キャラだけ見たい人なら行ってもいいかも」名探偵コナン 紺青の拳(フィスト) abcさんの映画レビュー(感想・評価)
近年稀に見る駄作。キャラだけ見たい人なら行ってもいいかも
ここ数年でぶっちぎり1番の駄作です。個人的には全シリーズ通してもワースト1・2を争う出来でした。
劇場版コナンは毎年公開日に行くぐらい大好きで、シリーズ全作品を見ていますが、今回は正直ずっと頭に「???」が浮かんだままでした。
とにかく脚本が酷い。このキャラを見せたい、このアクションを見せたい、ラブコメも入れたい!!みたいな思いだけが先行してて全体としてみたときにストーリーが全部中途半端。
キッド、京極さん、シンガポールという舞台、これだけ魅力的な要素があるならもっと面白くなってもよかったのにそれらを全く活かしきれないまま、そして序盤に散りばめられた伏線が雑に回収されて気になるポイントがいくつも残ったままクライマックスへと向かっていったので観終わったあと凄まじく不完全燃焼でした。
元々近年謎解き要素は薄めですし、私は例年の最後のアクションシーンもヒリヒリして好きなので、その点に関しては不満はありませんが、今回は事件の内容が荒すぎて犯人の動機もあまり深く語られないため釈然とせず、黒幕がなぜキッドに罪を着せようとしたのかの理由づけも「え?それだけ?」と言いたくなるようなあっさりとしたもので必然性も感じられずといった感じで非常に残念でした。キッドは好きなキャラクターでもあるので、出すならもっとカッコよく効果的に使って欲しかったです。
あと京極さん、ミサンガにメンタル持っていかれすぎじゃない?あれはせめて自分で切ってほしかったし、そのくせ切れた途端にサイヤ人になっててドラゴンボール見てるのかと思いました。バトルの作画は綺麗だったのでそれだけがせめてもの救い(?)です。
あとどうでもいいけど、そう考えると中盤のキッドVS京極が結構接戦だったのはキッドもすごい戦闘力なのでは…それかさすがの京極さんも人相手には手加減してるのか…?
いずれにせよキッドVS京極さんの構図はここでしか出てこなかったし最後もそこまで共闘してた訳ではなさそうなので、
もうここまで来るとキッドと京極さん同時に出す必要なかったのでは…
キッドも京極さんも出し方によれば面白くなりそうなのでどうせなら別々で見たかったです。
とにかく終始何を見せられているんだろうという感じでした。なぜこの脚本でGOが出せたのか不思議なレベル。脚本家の方はから紅と同じ方だそうですが、なぜここまで酷くなったのか理解できません。
あと監督さんが今回初の方だったので仕方ない部分もあるのかもしれませんが、このクオリティだと次は別の方にお願いしてほしいです。
ただ今回の映画、絶賛されている方もおられるようなのでなぜこんなにも意見が違うかなーと思いましたが、絶賛されてる方の意見を見ると
◯キャラが好き(キッド、園子と京極、蘭と新一など好きなキャラが活躍、ラブコメしてるのを見るのが好き)
◯アクションが派手、分かりやすい
◯ストーリーの一貫性や推理にそもそも重きを置いていない、あの伏線回収で満足している、謎解き部分難しいからいらない
などが見られたのでストーリー関係なくキャラ主体で単にラブコメ的な映画を見たい方、ド派手な人間離れバトルやアクションのみ見たい方は観に行ってもいいかもしれません。
個人的にはそうなったらもはや「名探偵コナン」じゃなくてもいいだろうと思いますが、ストーリーをさほど重視しないなら楽しめる作品にはなっているのかもしれません。
前述した通り今回作画はいいので、カットだけぶった切って見るならいいシーンいっぱいありましたし。(園子の前髪下ろした姿、戦闘シーンの京極さん、キッドの表情、あとサッカーボール蹴った後のアーサーの眼鏡越しの顔とか。)
今回は残念な仕上がりでしたが、来年に期待したいと思います。