「ガンダム作品群だけではなく、現在における日本アニメの最高の映像」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ガンダム作品群だけではなく、現在における日本アニメの最高の映像
富野由悠季作の同名小説を原作にした映像作品。
監督はガンダムUCで冴えた演出を見せた村瀬修功。
【ストーリー】
月-地球往還シャトル・ハウンゼン356便がテロリストたちに占拠された。
彼らは反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」の一員を自称するが、実質はただのカネ目当ての武装集団だった。
偶然搭乗していた主人公・ハサウェイは、隣席の美少女ギギによってニュータイプ能力を刺激されて事前に彼らの凶行を察知し、同乗していたケネスの助けもあって、その排除に成功する。
到着した地球では連邦政府による圧政と、マンハンターと呼ばれる虐殺部隊の動向を目の当たりにして、ハサウェイは反発心を隠せない。
ハサウェイとケネスの間を、花々をわたる蝶が舞うかのようにふるまうギギに戸惑いつつ、ハサウェイはついに行動を開始する。
表向き、療養と研修で地球を訪れたハサウェイ。
その正体は——反地球連邦組織のリーダー、マフティー・ナビーユ・エリンだった。
「親父にもぶたれたことないのに」
「やかましいわ怒りのランニングビンタをもう一発」
ビターン!
かつて何人たりとも触れさせなかった無垢なアムロのほっぺっぺを、思うさまぶん殴った老け顔ブライトさん二十歳。
その息子、さっぱり顔のハサウェイ君二十五歳を主人公にした、『逆襲のシャア』の12年後を描いてます。
そう、小惑星基地アクシズ落としの時にいらん事しでかしたあの少年、ハサウェイ・ノアです。
とにかく目立つのは、力の入った映像。
ガンダムで一番面白いのはUC、と多くのヘビーガンダマーが語っておりますが、優れた演出家を集めたUC製作者の中から、サンライズの担当者が「また一緒に仕事したいなあ」と抜擢したのがこの村瀬修功。
伊藤計劃の大傑作SF『虐殺器官』を映像化した村瀬監督の、センスのよい演出が光ります。
特に印象的なのは、監督もこだわったという真夜中のグスタフ・カールの戦闘。
モビルスーツの機動が周辺の人や施設に与える物理現象をつぶさに描いて、その圧倒的な力感を余すことなく表現しています。
やっぱり怖いよモビルスーツって。
だって全高18メートルあるんですよ?
ビル6階相当ですよ?
でっか!
現在の日本のロボットアニメ最先端の映像で作られた、ガンダム・サーガの、傑作が約束された映画化第一弾。
不穏さを残した引きの強いラストで、続編への期待を煽ってくれますよ。