「良い裏切られ方!」オーヴァーロード Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
良い裏切られ方!
映画の冒頭、個人的には、やや曖昧なCGから始まり、あ~ぁ、またドイツ人がバッタ、バッタと倒される戦争映画を見なければならないのかと思っていると、下の歴史に残る人の言葉を載せて、ありきたりなアクション映画と思わせておいて、実は..........!?
(下の文章は要らない。)
WINSTON CHURCHILL
The British Empire and French Republic,
linked together in their cause......
We shall never surrender.
DWIGHT EISENHOWER
Soldiers, sailors and airmen
of the Allied Expeditionary Force,
...................(略)
The elimination of Nazi tyranny
over the oppressed peoples of Europe.
I have full confidence in your skill in battle.
The eyes of the would are upon you.
全編、息をもつかせないスピード感あふれるシナリオであまり映画に出演のしていない役者を使っているのにもかかわらず、興行的にも批評家や視聴者の支持も勝ち得ている冒険活劇スリラー映画として成立していて、あのワンダーウーマンのようなドイツ人が英語を話すようなチャンチャラおかしなことはせずにドイツ人はドイツ語をフランス人はフランス語をそしてアメリカ人はもちろんアメリカ英語を話しているように真摯に映画作りをしている。
この映画は、良い意味で思いっきり裏切られる演出をしていて、それが嫌味感がほとんどゼロのものとなっている。特に新人の監督をサポートするのが、今年公開されるスターワォーズを監督・脚本・プロデューサーとして活躍している、娯楽大作を作り続けているJ・J・エイブラムスがプロデュースしているので期待を裏切らないものとなっている。
ただ個人的に観てほしいところは、ラストの主人公ボイスが、ドイツ軍の秘密基地を爆破し、脱出するシーンは、ワンカットで撮られ、どのようにできたのかわからないほどのもので見逃しては、悔いの残る必見のものとなっている。しかし、ドイツ人将校役のPilou Asbækはとにかくすごい人です。
この作品、もう一つ言えるのが、CGよりも精巧なギミックを使用しているところが、ここで描かれているゴア表現を陳腐なものにしないで、骨太な物語にしている。
ただ引っかかるのが、ボイストレーニングをしたと思われるが主人公のボイス役のジョバン・アデポはイギリス人俳優なのにクイーンズ・イングリッシュそれを消しているのだが、それとは別にあまり関係ないが、この映画は、D-Day、1944年の6月6日の前夜の話を描いているのだけれども、重箱を突く性格のものにとって、黒人と白人の混合隊は1945年以降に資料には残っているらしいのだが、このことについては、黒人第一主義監督のスパイク・リーがクリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗(2006)」の作品に対して黒人兵士が映画に出ていないとイチャモンをつけているのを記憶しているためにすこし違和感を感じている。
この監督、黒澤明監督の映画かジョン・スタージェス監督の映画を観ていると思われるシーンが散見する。