「懐かしさすら漂う意外にちゃんとした戦争映画」オーヴァーロード よねさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしさすら漂う意外にちゃんとした戦争映画
ノルマンディ上陸作戦の開始前夜、フランスの小さな村に潜入し教会の塔にあるドイツ軍の通信設備を攻撃すべく航行中だった米国の空挺部隊を乗せた輸送機がドイツ軍の機銃掃射を受けて大破、若い黒人兵士のボイス他数名の隊員だけが生き残る。森の中で村の娘クロエと遭遇したボイス達は彼女の家に身を潜め作戦開始の準備を進めるが、教会を偵察に行ったボイスは恐ろしい光景を目撃してしまう。
チャーチルのあの演説をイントロに冒頭約30分はほぼ普通に戦争映画。教会潜入からナチスの実験の全貌が見えてくるわけですがここでも意外とグロデスクな風味は控え目で、むしろナチスの悪行三昧を執拗に見せるような描写。そういった丁寧なAメロが効果を発揮して、通信施設破壊作戦の決行がメチャクチャ盛り上がります。撮影もかなりテクニカルで輸送機が被弾してから降下するまでのスリリングなカットもカッコいいし、クライマックスの長回しは思わず声を上げてしまうほどダイナミック。無名キャストのB級ホラーだろとナメていた自分が恥ずかしくなるくらいちゃんとした作品でした。ヒロインのクロエを演じるマチルダ・オリヴィエがカッコよくて美しいので今後の活躍を勝手に期待します。
コメントする