「喪失の夏」メモリーズ・オブ・サマー imymeiさんの映画レビュー(感想・評価)
喪失の夏
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主人公の少年ピョトレックは母と仲良し。しかし、母の不倫により、突然の母離れを余儀なくされ、母の愛を失う。
次に夏休みのあいだ、都会からやってきた少女に一目惚れする。おそらく初恋。まるで母の愛の代わりを求めるように、母との秘密の場所に連れて行く。しかし、彼女との関係もなんだかうまくいかなくなる。少年は母の愛にも少女の愛にも満たされることはない。
母の浮気を知った父も、母と話し合いすらすることなく、また出て行ってしまう。家庭の崩壊。
夏休みが終わり、少年は母と共に出かける。最初のシーンに戻るラストシーン。歩いている間も暗い雰囲気。少年は警報の鳴り響く踏切のなかに立ち止まる。それに気づかない母。母が気づいたときにはもう手遅れ、電車は側まで来ていた。
少年はぎりぎり轢かれない位置にいて命は助かったが、母との絆は修復不可能なことが暗示される。踏切越しに見つめ合う母と子。ここでは、少年としての死が象徴されているのではないかと思う。彼はもう二度と、無邪気な少年時代には戻れない。彼は大人になっていく。メモリーズ・オブ・サマーとは、ピョトレックの少年としての最後の夏の苦い思い出、喪失の夏。
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