「映画の感想とは?」赤い雪 Red Snow いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
映画の感想とは?
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鑑賞直後は、昭和の雰囲気が漂う、重苦しく陰湿な表現手法としかしキチンと裏打ちされた俳優陣の堅実な演技、陰々滅々な様を現わす劇伴と舞台設定、そして記憶という曖昧模糊なものに振り回される人間の滑稽さを表現されている良作であると感じた。しかし、何日か経ち、そもそものストーリーの不自然さ、所々みえるぽっかりと抜け落ちている穴を感じてしまい、もしかしたら、この鑑賞の記憶でさえ、曖昧なものだということ自体、メタファーとなって観客に訴えているのではないかと思い始めてしまった。
それほど、今作品の観た人の想像力に委ねる、いわゆる読解力が試される作品は、増加傾向であり一つの方法論にまで成っているかも知れない。下手をすると置いてけぼりにされてしまい、求めるところのカタルシスは得にくい内容に、それなりの賛否が問われる現実がある。原作をチョイスするのか、オリジナルを産み出すのかも含めて、良くも悪くも監督の“作家性”と、観客の感覚にシンクロニシティが生まれればこんな幸せなことはない。しかしその殆どは虚しく別ベクトルを向いてしまうのがオチなのだが・・・
そう思ったが、だからといって合わないから、作品を陥れることとは別問題である。否定をすることに躊躇することなく感情の赴くままに吐露する輩に、読解力の無さを恥じることから始めるべきではなかろうか・・・。それは自分も自戒の意味を込めての発言である。
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