「いたいけどきもちいい」絶倫謝肉祭 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
いたいけどきもちいい
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相変わらずのオークラクオリティの作品であり、始終苦笑いと共感性羞恥に苛まれる内容となっている。果たして脚本通りなのか、現場でアイデアが渋滞を起こしてしまったのか、はたまた編集をシラフで作業していないのか、まぁ"怪"の一語に尽きる出来である。俳優陣も演技を訝しげにせざるをえない印象が惜し気もなく現されていて、どう受け止めればよいか困惑しきりなのだ。主演の娘の大根ぷりは指摘する方が不粋なのでスルーするが、引き摺られるように周りも下手な演技を突飛な演出で何重にも塗り固められた表現を、恥ずかしげもなく披露する勇気と諦め感に感動すら覚える。映画は自由だということを否応なしに突き付けられ、観る人全てを奈落の底に突き落とし、カオスに閉じ込められ、身体中の穴という穴に鉛を流し込まれる感覚に、西野カナ並に『震える』のである。
結局今作品の主眼は何だったのだろうか。『シュール』なんていうアーティスティックなレッテルなどではない、正に『闇鍋』という具現化が当てはまるたてつけなのだ。
濡れ場も又、エロチックが欠き消されるコメデイ全開さ、ムカデ人間を彷彿させる直列結合、ラストの半端な女性化と理解不能な離別。一体何がテーマなのかなんていう正論に、完膚なき打撃を撃ち込む展開に茫然自失を拭えない。
色々と否定的な文言が続いてしまうが、しかしこの自由さこそ映画の醍醐味だとも思う。多分、この形而上学的建付は、観客への挑戦状と受け止めることが正解なのであろう。
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