劇場公開日 2018年9月29日

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「1回目よりも2回目にもっと好きになる映画」セブンガールズ AYUMIさんの映画レビュー(感想・評価)

4.01回目よりも2回目にもっと好きになる映画

2018年11月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

時代に翻弄され、世間に蔑ろにもされて、どんなに辛く苦しくても、それを飲み込んで歯を食い縛り、強く生き抜いた女性たちを描いた映画です。

舞台作品からの映画化ということで、舞台の趣が存分に残る映画です。舞台、映画、ミュージカル、喜劇…色々な要素がギュウッと凝縮している、なんとも欲張りな映画でした。

実はこの作品において、舞台的要素が軸であったように思います。多彩な内容をまとめあげ、ユニークな世界観を作り上げるには、非現実的な要素をもまるめられる舞台の要素なしには難しかったのではないでしょうか。

題材が「戦後の日本」「パンパンガール」ではありますが、重さも濡れ場もありません。

明るく小気味よい、そして年齢や性別に関係なく笑えるユーモアが随所に散らばっています。テンポがよいので、気がつくと、吹き出したり、笑ったりしています。「テンポのよい笑い」は、この作品の大事な鍵だったと思います。

「テンポのよい笑い」に、気がつくと心が開かされていました。だから、心の解放感と感情の対比で悲しいシーンでは、自分でもビックリする程に泣けてしまいました。

また、長回しも本作品を語るうえで不可欠です。撮影期間の短縮を敵えただけでなく、作品全体に臨場感や緊張感、ライブ感を与えていました。これに、ミニシアターという環境、そして笑ったり泣いたり…加わって、登場人物と観客、観客同士が時間を追うごとに共鳴仕合い、どんどん一体化していくという、不思議な感覚を覚えました。

大事なシーンで流れる主題歌「星がいっぱいでも」は、「上を向いて歩こう」のような名曲です。耳に残り、ついつい口ずさんでしまいます。

見終わった後で、この映画が誕生した背景などを知り、驚愕しました。低予算なうえに、たった5日間で撮り終えたそう。信じられません。

初日に開館前から並んでようやくチケットを購入しました。観ることができて、本当に良かったです。

AYUMI