「邦題が既にネタバレなのが気になりますが」狼チャイルド よねさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題が既にネタバレなのが気になりますが
高級コンドミニアムに住む出産間近のアナが自分の身の周りの世話をしてくれる住み込みの家政婦を募集していたところにやってきたクララ。育児の経験がないことから不採用と告げたところでアナは発作を起こしてしまい、とっさに機転を利かせたクララを気に入り採用することにする。アナは家族も友人もいない孤独な女性だったがクララにはすっかり心を許していた。やがてアナは時折深夜に奇妙な行動をとるようになるが翌朝何も覚えていない。アナの奇行にある規則性があることに気づいたクララは、深夜にフラフラと外に出ていったアナを尾行したところで信じられない光景を目撃してしまう。
と、ここまではだいたい想像のつくクラシックな展開。しかしそれはあくまでこの映画の前半部分に過ぎず、この後意外な展開となり阿鼻叫喚の果てに辿り着く結末が美しい。ブラジル映画には時折突然変異的に傑作が現れますが、本作は正にそれ。『シェイプ・オブ・ウォーター』、『ぼくのエリ』、『パンズ・ラビリンス』といった作品に比肩するダークファンタジーの傑作に仕上がっています。原題は直訳すると『良いお行儀』という意味ですがこのタイトルが暗示するテーマがものすごく重いです。しかしこのネタバレお構いなしの邦題はなんとかならなかったのでしょうか、それだけが残念です。
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