雨の首ふり坂のレビュー・感想・評価
全3件を表示
親分衆や切られ役って大事だったのですね
久しぶりの時代もの。配役は豪華だし、とても楽しみにしておりました。
単純におもしろかったです。
ただ、子供のころから時代劇好きなので、音楽に??と違和感があって時々で集中が途切れてしまいました。
それに親分衆や切られ役って大事だったのだな、と痛感しました。顔が強面なだけでないいぶし銀の魅力を出せる役者さんが減ったのか、時代劇が減ったから必要がなくなったのか、殺陣や口上での求心力が弱くなってしまったのは残念です。
でも主役どころは素晴らしく、素敵でした。
実の子と拾った子、渡世人として対局の2人との関係性が何とも言えず、流れていくしかない世界に生きる不確かさにさみしくなりました。
渡世人ハードボイルド
池波正太郎が自身の小説「雨の杖つき坂」を新国劇の島田正吾の為に戯曲化した「雨の首ふり坂」を中村梅雀主演で映像化した本作は、侍が登場せず、博徒達によって繰り広げられる迫力ある殺陣から、時代劇版「アウトレイジ」と言えると思う。
主人公の白須賀の源七は藪塚の半蔵とコンビで、殺しを請け負う渡世人稼業で諸国を渡り歩いている。
ところが、ある親分殺しを請け負ったことから運命が流転していく。
そして、それから25年後の主人公は運命に導かれるように、首ふり坂のある小諸宿に流れ着く。
この作品は皮肉な縁の巡り合わせのドラマと言えると思うが、作品的には全く異質ではあるが、「スター・ウォーズ」で描かれる一族のドラマと相通ずるものがある。
そして、時代劇とミスマッチ感のあるEGO-WRAPPINGが音楽を担当していて、作品の枠組みに囚われないアウトローたちのハードボイルドなドラマを展開させていく。
安定や安住を拒否して流れ流れた先にあるものに、何とも言えない男の哀愁が漂う。
全3件を表示