「無限の彼方へ、さあ行くぞ! ホラ話も何も、本編ではもっと凄い事になってるんですけど…。」飛行機メーター たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
無限の彼方へ、さあ行くぞ! ホラ話も何も、本編ではもっと凄い事になってるんですけど…。
乗り物が生き物の様に暮らす世界を舞台にしたレース・アドベンチャー映画『カーズ』シリーズのスピンオフ短編。
飛行機が暮らす街プロップウォッシュ・ジャンクションを訪れたメーターは、「誰でも飛べる様になります。保証付き!」と書かれた看板に誘われ、「スキッパーの飛行学校」の門を叩く。
翼を取り付けたメーターは、いざ飛び立とうとするのだが…。
『カーズ2』(2011)のDVD/Blu-ray特典として収録された5分程度の短編作品。『メーターの世界つくり話』(2008-2012)という短編シリーズの中のひとつとしてカウントされている。
「嘘じゃないよぉ!」というメーターのとぼけた一言から始まるこの物語では、彼がアクロバット飛行チーム「ファルコン・ホークス」に所属するまでの経緯が語られる。
本当か嘘か、最後までハッキリとはわからないというのがこのお話のキモなのだが、ちょっと待って欲しい。本編『カーズ2』において、我々はメーターがロケットエンジンで空を飛んでいるところを既に目撃しているので、メーターのつくり話が事実だったところでなんの驚きもない。
『カーズ』(2006)の後ならともかく、何でもありになってしまった『2』の後では、この「メーターのトンデモ話は嘘か誠か?」というフォーマットは通用しないのである。
『2』が場を荒らしていなければ、普通に楽しい小噺として何の違和感も無く受け入れられた事だろう。メーターの可愛らしい所が全面に出ているし、出番が少ないにも拘らず老教官スキッパーのキャラクターはしっかりと立っているし、5分の短編とは思えない程満足感の高いアニメーションだった。
全てはリアリティラインをぐちゃぐちゃにしてしまった『2』が悪いのだ!
「今度は飛行機の映画を作ればいいのに」とこちらにウィンクしながら呟いたメーター。この言葉通り、本作の2年後に『カーズ』シリーズのスピンオフである『プレーンズ』(2013)が公開される事になる。コレが俗に言う「匂わせ」ってヤツかっ!