シャルロット すさびのレビュー・感想・評価
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実存を 賭して手を擦る 冬の蝿
フリージャズもそう、人は何だかよく分らないものに惹かれる。約30人弱の観客もそう。この中で一体何人が本作を理解しているのだろうか? そういう自分も正に惚けである。とにかくジャンルのオンパレード、ハッキリ言うと詰め込みすぎ。上映後の監督のコメントでも自覚されているようなので、その部分は正しいかなと思う。怪奇なのか、SFタイムリープなのか、3.11や原発問題、そして先の大戦等の社会問題を取り扱っているのか、メロドラマなのか、明治や大正のノスタルジーなのか、現代舞踏を中心としたモダンアートを表現しているのか、ピカレスクなのか、こうして幾つも幾つもその表情が出ては引っ込む、それはまるでターミネーター2で、リキッドメタルのターミネーターが溶鉱炉で溶かされる際の断末魔のSFXの様相なのである。そして、濡れ場込みのセクシャル要素、かなりフェティシズムの匂いのするガラス板を使ったプレイなんてものも混入されるともうほんとに訳分らん状態だ。果たして監督はこれらの要素はきちんと整理されているのだろうか?勿論、観客に噛んで含める表現や効果などは“一昨日来やがれ”なのだろうが(苦笑 フランス→東京→会津というロケの中で、その時に得たインスピレーションをストーリー展開に無数に差し込みながら、しかし3時間弱という長丁場を牛歩の如く、冗長に流している、そんな印象を持った作品である。
そして、ラストの上半身しかないイタリア女、実は人魚であり、その人魚を撮影した写真の口から血が流れ出て、そして消魂しい叫びで終わる結末は、まさに『ワールド』そのものである。最期の演出は一体何だったのか、監督に尋ねようと思ったのだが、やはり止めた。多分、煙に巻かれるか、もっと精神世界を語られるかで、いずれにせよこの解釈はそれぞれの観客に委ねるのが正解なのだろうと思う。まぁ、自分的には今作品一番のキモは6個の水入りガラスコップを足にした6ミリ厚ガラス板の上でのセックスシーン。
確かに、恐怖と生殖行為は紙一重であり、その融合はより快楽を高める術なのかもしれない・・・
PS:それにしても、主演の男性の仲村トオル激似の方の口調の戦場カメラマンのこれ又激似は、二重に意識してしまい、かなりノイズが掛かってしまったのは自分だけだろうか?・・・
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