「善意もまた時に人を傷つける」カランコエの花 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
善意もまた時に人を傷つける
性的マイノリティに対する社会全体の理解は一昔前から比べるとだいぶ進んだのだろうと思う。メディアなどの扱いもそれなりに変化してきただろう。しかし、実生活において、人の心はすぐには変わらない。
本作はそんなリアルな生活の場での性的マイノリティへの理解の程度を見事に浮き彫りにしている。
ほとんどの人に悪気はない。最初にLGBTへの理解を促す特別授業を実施した保険の先生の行動は善意から来ている。しかし、結果的には、その善意の行動が一人の生徒を追い詰めてしまう。その生徒が思いを寄せるクラスメイトも彼女を庇おうとした発言もさらに追い打ちとなってしまう。
わずか40分の上映時間に、差別問題の根深さを見事に浮き彫りしている。悪意やわからないものへのフォビアから来るものを乗り越えても、社会にはまだ壁がある。善意もまた人と人を分断してしまうことをこの映画は見事に描いている。
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