ザ・リチュアル いけにえの儀式のレビュー・感想・評価
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ホラーと友情破綻ものをごっちゃにした中途半端な作品
社会人になり、それぞれ結婚したり、仕事でもベテランになりつつある若者5人がパブで飲みながら、外国での何泊かのハイキングを計画する。仲はよさそうだが親しさはそれぞれ遠近の違いがあるようで、パブを出た後、酒屋に行ったのは2人だけ。ところが、そこに強盗がいて、1人はそれに巻き込まれて殺されてしまう。もう1人は店の奥に隠れ、仲間の殺されるのを震えながら見ている。
その6か月後、仲間が1人欠けた4人は予定通りハイキングに出かけ、景色のいい場所で死んだ仲間を弔う。仲間を見殺しにした1人は、いまだ罪悪感にまみれているようだ。残る3人はそれを見て見ないふりをしているようでもある。友情は危ういようで、それが災害か何かで試されていくのだろうか。だとしたら面白そうだ、と画面に見入っていくと…残念ながら大違いなのであったww
この友情の破綻云々は単なる添え物に過ぎず、予定経路を外れて森に踏み込んで行った4人を襲ったのは北欧神話の巨神と、それを信奉するカルト集団。それに1人また1人と残忍に殺されていき…という単純な構図で、人間ドラマを期待した小生は大いに当て外れとなった。
かといって巨神やカルトが怖いかと言えば、あっさり正体がバレてしまうので、別にどうということもない。冒頭の強盗シーンが何度も生き残った仲間のPTSDとして再現されるのだが、これも何の意味があるのか分からない。
ホラーと友情破綻ものをごっちゃにした中途半端な作品というしかない。
森
友人を失った悲しみや後悔を抱えた主人公。
何度もフラッシュバックするシーン。
それと森の神?との関係があるのかないのか。
3分の2は森のシーン。
いくら近道でもあの森を通ろうとするとは…無謀過ぎる。
一番ダメなやつが捻挫してやたらと騒ぎ、言っちゃダメなことを口走り仲間割れ。
しかし最後まで一緒に帰ろうと励ますシーンはちょっと感動。
生贄の儀式をする謎の団体は一体何なのか。
謎すぎて、怖くはなかった。
MCUのイタズラ男ここに見参
NETFLIX独占配信の本作は、「V/H/S」の一作品を任されたデイビット・ブルックナー監督の北欧神話ホラー。中盤まではPOVを無視した「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の様な展開を見せるのだが、「この森には何かがいる」という共通認識になってからは趣が変わる。暗闇で木をバキバキさせながら襲い来るそれは中々の臨場感であり、NETFLIXの作品の質の高さを感じる。
主人公は以前、立ち寄ったコンビニで不遇にも強盗と鉢合わせし、友人を守れずに死なせてしまった過去があるのだが、その過去が終盤の展開に影響を与えてくる形だ。主人公は何度も森の中に事件現場となったコンビニの一部を幻想として見てしまい、犠牲になった友人やその犯人から「こうなったのはお前のせいだ」とばかりに睨まれている。
本作に登場する「何か」の正体は、古くから棲む神様。名前こそ明かされないが、「ロキ」の子孫とのことだ。あの「アベンジャーズ」ではどこか憎めないヴィランとして登場したが、まさかこんなところで遭遇するとは。「アベンジャーズ」のロキも鹿の角の様な冠を被っていたが、本作に登場する子孫もまるっきり鹿である。
かなり攻撃的な神様の様だが、主人公らがその生け贄になったのは容易に見て取れる。心に闇を抱えた主人公が神を崇めていいと認められた理由は分からないが、北欧神話に詳しい人ならば瞬時に分かるかもしれない。数多くの伝説や神話が残る北欧には他にもどんな話が眠っているのか。少し調べてみたくなった。
森の中には神に身を捧げる事で永遠の命を与えられている人々が集落を形成しており、平穏な生活を送っている。ただ、観光客らの一部を神への捧げ物として与えており、その均衡を崩さなければ彼らには一切の苦しみがないのだとか。神を崇めていい存在の人々には体に不思議な模様の傷が付き、主人公もその一人となる。これで主人公もそこで暮らすのかと思いきや、主人公は平和だったその均衡を崩す行為をして、自分だけが助かってしまうのだ。過去に苦しみを抱える事をした主人公だが、ここでまた人々を苦しめる事をしてしまい、神に盾を付き、逃げ出してきたのはいかがなものかと思ってしまう。そのラスト以外は自然豊かな土地の澄んだ映像と相まって、上質な作品に仕上がっている。ぜひBlu-rayで観たい作品だ。
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