「純愛路線」説きふせられて odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
純愛路線
クリックして本文を読む
意味深なタイトルに惹かれて鑑賞。
家柄とか身分とかに拘り、女性に自由な恋愛結婚が許されない時代を背景に引き裂かれた男女が8年ぶりの再会でついに思いを遂げるというシンプルな物語なのだが両者の心のうちにベールを張ったり、御邪魔虫を配置したりして気を揉ませるという恋愛小説の典型パターン。ただロメオとジュリエットのようなドラマ性も無く淡々と時間が過ぎてゆく・・。
原作は18世紀から19世紀にかけての英国の恋愛小説の大家ジェイン・オースティンの説得(Persuasion、1818年)、本作は1995年のテレビ映画(BBC)のリメイクです。
かの夏目漱石も彼女の写実性を絶賛していたと言うが彼女の描く世界はいずれも狭い上流社会、名家の娘と牧師や軍人などの紳士、この男女が紆余曲折を経てめでたく結婚して終わる話ばかりで自伝的でもあるのだが当時女性が本音を吐露したという点で世の女性たちの共感を得たのでしょう。
恋愛映画にしてはやや地味で雑な印象、ゴシップ好きの国民性に寄せたのでしょう、唯一ロマンティックだったのは彼女がショパンを弾くシーン位、冒頭も手持ちカメラで主人公を追うのだが手振れが気になった、アクション映画ではお馴染みだが繊細さが売りの恋愛ものにはそぐわないでしょう。製作会社がWGBH-TVというのもあるのかも知れません。
そもそもおじさん向きに作られた映画ではないのでしょうから物足りないのは当然なのでしょう。
コメントする