「信じる信じないは私次第私がきめる、」サタデー・フィクション redirさんの映画レビュー(感想・評価)
信じる信じないは私次第私がきめる、
愛する者に愛されたいと思うのは傲慢であり利己であり自分勝手ですあるのもあるのだ。
ロウイエ監督の作品、記憶に新しいところでではシャドウプレイだけど、イケメンなのにいけてない、ダメな男が出てきて女は大体否応無しにということもあるけど、力強く選択していくのだ。
それでも、ふらふら自己愛に満ちた男たちも、そんな彼らを愛したり騙したりする女たちも、ロウイエ作品で感情移入してしまう登場人物はいない。羨ましいと思う感情ノコ交差があったり、彼にしかこうは見えない街並みであったりしていたく感動することはあっても。
それでもそれでも、本作品サタデーフィクションは、さすがのコンリー様が圧倒的に揺るがない存在感でコンリーに意識が集中しコンリーに私の心が入り込みに行く。
シャドウプレイの若いイケメン刑事に続くダメ男ぶりのオダギリジョーもいいぞ。
演出家で元恋人も、拷問を受ける元夫も、コンリーをスパイに育て上げた義父も、ありえないだろうと思いながら、ありうるかもと右往左往する。
コンリーと、バイメイは、私が愛すると決めた者を愛する。私のためにそれをする。
利己的な、愛するゆえに愛されたいとは反対の。だから
スパイ関係がどうなっていても関係ないのだと思う。
豊かな文化的な暮らしの上海がおもう存分描かれて、劇場とホテルというカラクリや秘密の通路がある舞台設定も素晴らしく、いつものロウイエ作品なら道に迷うところだが本作では黙ってコンリーについていくのみ。自分だけが真実。自らを愛し世界を愛する。
オープニングの二人の再会エンディングの二人の心で交わる最後もよい。コンリーがクルマの窓ガラス越しにオダギリジョーを斜め45度で撃つシーンとかは単純に、今までを見た映画シーンの中で一番カッコ良いのではないか。思わずかっこいいと声がもれた。
ミラー作戦。人の心をあらわにするミラー。それにしても、コンリー58歳。マジックミラー。