「ひとりだけ"欠席"した理由がわかる。やっぱり生身の人間だから魅力的ね」アントマン&ワスプ Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
ひとりだけ"欠席"した理由がわかる。やっぱり生身の人間だから魅力的ね
感慨深いのは、「アイアンマン」(2008年)から10周年。毎年2作ペースにもかかわらず、脱落するどころか、オンデマンド時代の恩恵で、どんどん観客は増えている。いまだにエンドロールで離席する人がいるのは、ナゾである。
そして衝撃の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018) で、ヒーローチームは全滅してしまった。その「インフィニティ・ウォー」に唯一、登場していなかったのが、"アントマン"である。なぜ登場していなかったのかが、明らかになる。
本作は、"マーベル・シネマティック・ユニバース"(MCU)の第20作目であり、第12作目「アントマン」(2015)の続編にあたる。きっちり3年前のエンドロールからつながっているので、復習してから観たほうがいい。
アントマンは第16作の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)にも参加していたが、それが理由で、"FBIに軟禁状態にされていた"というのが、表向きのタテマエである。
しかし現在MCUはフェイズ3にあり、ヒーローチームは再編されて、フェイズ4に向かう。アベンジャーズの何人かが卒業するので、その"前振り"が始まっているのだ。
アントマン(=スコット・ラング)はMCUの中でもっとも魅力的なキャラクターだ。アイアンマン(=トニー・スターク)が引っ張ってきたアベンジャーズのキャラクターたちは皆、高性能で無敵すぎる。そんな中で、アイアンマンと同じく"生身の人間"なのが、アントマンである。スーツや武器を装備しないとヒーローになれないところが共通している。
トニー・スタークは金持ちで女たらし、だけど天才的な科学者でペッパーを愛している。スコット・ラングは泥棒でバツイチ、だけど娘想いの心優しい父親。ここが憎めない理由だ。スーツによって体長1.5センチから20メートルまで伸縮自在のヒーローになる。
前作でアントマン・スーツの開発者、天才科学者ピム博士の娘ホープに、母親が着ていたスーツを渡すところからつながっていて、ホープは伸縮自在のヒロイン、"ワスプ"として、いよいよ参戦する。
引き続きマイケル・ダグラスがピム博士を演じているが、実はピム博士と妻ジャネットが、初代の"アントマン&ワスプ"だったというのが、ストーリーの主軸である。
"アベンジャーズ"シリーズの長寿命化で、出演俳優のバトンタッチが現実問題化するなか、アントマンはヒーロースーツを継承できるというのが、実はキモだったりする。
伸縮自在のカラダが、これまでのアクション映画にない、斬新なシーンを生み出す。初回は3D4DXで鑑賞したが、この映画も4D系で観る価値がある。クライマックスのカーアクションシーンがメインだが、小さくなったアントマンがクルマのワイパーと洗浄液に見舞われるところは、4DXの"水"の意義がある。
いつも通り、"スタン・リーを探せ!"があることはもちろん、エンドロール後のサービス映像で、「インフィニティ・ウォー」とつながる深刻な事態にアントマンが巻き込まれてしまう。ここで初めてアントマンが「インフィニティ・ウォー」に出ていない伏線とつながる。そしてMCUがフェイズ4に向かって進行する。これはぜったいに観るしかない。
(2018/8/31/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:林完治)