「海の産屋のシネマテーク初日に2本立てで観れました!」修験 fuhgetsuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0海の産屋のシネマテーク初日に2本立てで観れました!

2018年4月8日
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鑑賞方法:映画館

雄勝法印神楽と羽黒修験という、何ともひっかかる魅力的なドキュメンタリー。
久々、何十年ぶりかの映画2本立て(今は入替制だけど)でした。
とにかく、シネマテークさんありがとう。
前回観た黒森神楽の廻り神楽から、3部作のような意味での上映だったので、仕事を後回しにして初日に駆け込んだ。
フォークロアとしての記録でもあり、難しい言葉もたくさん出てくるけど、修験と切っても切れないただならぬ関係の神楽をもっと知りたいという欲求が満たされるというか、まだまだ知らない世界がたくさんあってよかったという安心感と、自分の根底にある熊野や花祭や白山が修験という未知の領域から絶えずわたしを呼んでいることへの答にならない再認識の旅へ誘ってくれた。
7日初日は両監督が舞台挨拶で登壇。
配給しているヴィジュアルフォークロアにも興味津々。
単なる記録映像というだけでなく、民俗学的にもしっかりした研究が行き届いた眼差しでとらえたからこそ、伝えたいものがこちらにちゃんと伝わる作品でした。
その2本目の上映が『修験』だった。
山は死者の還るところと神聖視されただけでなく、修験者にとっては母なる胎内であり、その修行で一度死んで自ら葬式し、産まれ直しながら、石や木や虫や鳥や動物と同じところまでいって、娑婆に帰ってくる。
その瞬間が生まれ変わる出産。
お山の聖地が子宮で、山道の参道が産道で、出口の鳥居をくぐるときにオギャーと叫んで帰ってくる。
今まで神社で感じてことがあっけなく紐解かれた。
雄勝の漁村に神楽を伝えた、羽黒山の秋の峰。
出羽三山の月山、湯殿山、羽黒山。
ここに修験を伝えたのも熊野だという。
生まれ清まりの花祭も、熊野修験だった。
そのルーツのようなものが垣間見れた気がする。
この家族や夫婦であっても他言無用の九日間を、カメラが入って包み隠さずとらえた貴重な映像。
それは北村監督自らがカメラを持たずに体験し、後にその先達から記録するように頼まれたことで2004年に記録し映像化されたもの。
それだけ、この時代に残された日本の文化がますます消えていくことの危機感と同時に、隠されていたものが表に出る時代的な衝突があってのことで、それがよい方向に向かっていると信じたい。
伊勢の大麻栽培がようやく許可されたり。
大相撲が伝統でないのに、土俵の女人禁制をクローズアップさせてくれたのもいいタイミングだったと思う。
3.11から復活した二つの神楽、黒森の廻り神楽と雄勝法印神楽に、その背景にある修験と、この時代に生きる日本人として見ておかなければならないドキュメンタリー映画を観れてよかった。

fuhgetsu