「.」フッテージ 惨劇までの13日間 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。日本劇場未公開作で原題"Found Footage 3D"。冒頭から入れ子構造となる作中作『死の悪霊(スペクター・オブ・デス)』製作の舞台裏を見せつつ進行するメタフィクション的POVで、キャストやスタッフの舞台裏で起こる軋轢やトラブルが物語にもリンクする。自らが定義するファウンドフッテージのルールに縛られつつ、それを逆手に取った人を喰った様なストーリー。POVやファウンドフッテージ好き、或いは製作・撮影現場の裏側(メイキング映像)等に興味が無ければ受け入れ難い一作かもしれない。50/100点。
・史上初となる設定として3DでのPOV作品を試みるも、科白でも触れられる通りその必然性が乏しく、何でも3Dで撮るオタクと云う苦し紛れの説明のみで説得力に欠ける。POVの登場人物は何故カメラを回し続けるのかと云った疑問が投げかけられるも明確な答えは提示されない。
・序盤に下手な演技を収めた居合わせた老人二人が山小屋の名を聴いた後、やらせの科白まんまに狼狽する様があったり、終盤には左右で二分割するPOVとして挑戦的な画面も盛り込まれており、野心的で工夫された作りは伝わったが、物語自体に意外性が乏しくありきたりだったのが残念だった。
・作中で『地獄の黙示録('79)』や『ソウ('04)』等、実名で他作について言及されるが、中でも『シャークネード('13)』について、鮫と竜巻を組み合わせたアイデアは初でヒットしたがクソだと辛口の評があり、ベン・アフレックへの軽いディスリも盛り込まれている。
・女性にだらしなく、周りを引き摺り回す如何にも厭な男の“デレク”のC.ロイ、その元妻であり骨太で薹が立った“エイミー”のA.フォン・シュトロハイム、気弱そうな雇われ監督“アンドリュー”のT.サポリート、攫われただけでラストが判らない“リリー”のJ.ペランとキャスティングは知らない人ばかりではあるもののそれなりだった中、(共同)プロデューサー補としてもクレジットされている伝説のオカルト評論家役“スコット・ワインバーグ”のみ実名で出演していた。
・鑑賞日:2018年4月30日(月・振替休日)