「つまらないかもと見出した自分は未熟」港町 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
つまらないかもと見出した自分は未熟
だいたい作風は想像できたし、その範疇であったのだが、内容への興味は想像を遥かに凌ぐものだった。というのも、白黒で静かに始まった質素な映像を自分勝手に侮ってしまったわけで、その最初の負のレッテルが見ているうちにどんどん剥がされていき、未熟な自分を恥じつつも、終いはただただこの作品への称賛しかなかった。
なんで侮ってしまったかというと、この素晴らしいロケーションをなんで白黒で、なんて思ってしまったのが最たる要因で、その意図を徐々に理解できるような仕組みになっており、それが理解というか肌で感じ取るようになったときにはもはやこのドキュメンタリーの虜となっていた。
観察ドキュメンタリーと銘打って数々の名作を生み出されているけれど、作り手と対象者の関係性が重要な作品がほとんどで、観察しているうちに、その関係性が見えてきてそれが作品への興味を高めていく。
この関係性を見ることで、その地というものを深く理解できたような錯覚に陥る。錯覚というよりは真実をついていると言った方が適切かもしれないけれど、あくまで一つの視点での偏った見方ということで、一応錯覚と─。
白黒映像からでも美しさは伝わってくることが場所だったけれど、それだけにとどまらないその地の魅力を十二分に堪能できる素晴らしい映画だった。
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