「ファンムービー…?ではない。」クソ野郎と美しき世界 hi-na*さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンムービー…?ではない。
ファンムービーと思いきや、そうじゃない。
正直一回見ただけでは消化しきれない部分があるが、見れば見るほど良さがわかる。考察好きな方にはとても良いのでは?
エピソード1はシュールで、ここは笑いどころなのか?それとも真面目なのか?と悩む部分もあるが、己の中で正解を見つけると楽しめるのではないかと思う。
見どころは浅野氏と満島氏のふっきれ方。
エピソード2 はこの映画の中でも1番現実味がある。"歌喰い"というファンタジーあふれる存在があるものの、"香取慎吾"そのものの役によって現実世界での今までの悲しさを感じさせられた。正直泣く。
エピソード3はさすが太田光、といったところで、彼の芸風でもある時事ネタが要所要所に盛り込まれている。このエピソード3も1と同じように笑いどころが曖昧なところがあるため、己のなかでの正解を見つけると楽しめる。ここのエピソード3は"草彅剛"の役者ぶりが大いに堪能できる。巨大なスクリーンに負けないあの表情はぐっとくる。ぜひ見てほしい。
エピソード4はKUSO Universeで繰り広げられるミュージカル。これは祭りだと思う。児玉監督によるひとつのアートとも感じ取れた。エピソード2で歌を失った香取氏が、朗々と高らかに"新しい詩"を歌い上げる姿には涙を禁じえない。あふれる思いを表現している様子に心が踊ってしまった。
1、2、3とそれぞれのエピソードが絡み合う美しさは必見である。
そして、エンディング。
歌詞に着目してほしい。
あえて控えるがよく見てよく考えてほしい。
きっとエピソード4への見方が変わってくる。
クソ野郎と美しき世界という名ではあるが、見終わったあとのすがすがしさ、胸の高鳴りは素晴らしい。ぜひ体感していただきたい。