「今までにない韓国映画」リアル　Barbaraさんの映画レビュー（感想・評価）

「普通はこうなるよね」と言う観客の読みを、ことごとく裏切っていきます。台詞回しや状況に違和感を感じ出すと、自分がルートを外れて観ているのではないかと気がつきます。思っていた以上に奥行きがあり、レイヤー構造も複雑です。
観客を迷路に誘い込むトラップ炸裂で、まんまと引っ掛かり面白いほど騙されまくりました。

情報量の少なさは、あえてその様に作られているのだと思います。
主人公の心情は豊かに描かれています。
極限までエピソードを削ぎ落とした理由も、映画を何度も見ながら見つけていきたいです。
雑音を減らした分、中心人物の輝きに集中できます。繰り返し見て楽しむ事のできる、近年稀な良作です。こう言う攻める映画が私は好きです。
愛の物語でした。
歪ながらも、1人の男が懸命に1つの愛を追い続けた様に見えました。喪失感に共感すると胸に痛みが残ります。