劇場公開日 2019年5月3日

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「無表情なジャッキーがもたらす緊張感」ザ・フォーリナー 復讐者 zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0無表情なジャッキーがもたらす緊張感

2019年5月11日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

ジャッキー・チェンといえばカンフーエンターテイメントのイメージだったが、これは空気が重々しい。爆破シーンも多いのでいつ爆発するのか画面を見ているのが怖い。

とにかく「緊張感」の映画だ。北アイルランドの過激派テロに巻き込まれ娘を失った中国移民が自力で犯人を見つけて復讐を果たそうとする……という話だが、その見つける手段が北アイルランドの政治家(昔テロリストでつながりがあると踏んだ)にテロ紛いというかテロそのものの脅しを仕掛けて無理やり聞き出そうとするもの。この政治家も色色裏できな臭いことをしてるんだが、ジャッキーが怖いので可哀想になる。
というか、話の半分くらいは「テロの犯人は誰なのか?」をめぐる政治サスペンスで、これは少し意外だった。むしろ北アイルランド問題に馴染みもない私からすると誰がどういう立場なのか滅茶苦茶混乱した。頭空っぽで見られるアクション映画だと思うと面食らう。そうして混乱しているところに復讐マシンと化したジャッキーが突如襲撃してくるのだからパニックである。政治家の周りではそれぞれの思惑がうごめいているのに、ジャッキーの要求はひたすら「犯人の名前を教えろ」の一点張りなのも怖い。

勿論、ジャッキーが老体に鞭打つアクションも素晴らしい。素晴らしいのだが、たとえジャッキーといえど老いてはいるので若いアクションスターと比べると、スタンドが痛々しい。しかも今作は主人公がとにかく不幸オーラを漂わせているので拍車がかかる。それはそれで「迫真の演技」に間違いないのだが。

それと、結局ジャッキーは中国人なのかベトナム人なのかアメリカの特殊部隊にいたのか。

ジャッキーがシリアスな役回りで出るという触れ込みで見たが、単にシリアスなアクション映画ではなく、しかしカンフー映画のエッセンスは感じる、面白いが何だか不思議な映画だった。

zhiyang