「内容の好き嫌いにかかわらず、最新の映像技術を堪能する上では間違いなく現在最高峰の一作」アバター ウェイ・オブ・ウォーター yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
内容の好き嫌いにかかわらず、最新の映像技術を堪能する上では間違いなく現在最高峰の一作
前作『アバター』(2009)は本格的な劇場公開3D映像作品として世界中に衝撃を与え、今に至るまで世界歴代興行収入の最高記録を更新し続けています。その続編ということで、もちろん期待は高かったのだけど、既に3Dどころか4DXすら当たり前となった映像環境下で、かつ3D映画そのものがかつてよりも落ち着いてしまっている状況下で、果たして続編を公開する意味はあるのか…、と少し疑問に思っていました。190分という上映時間もちょっと気合いを要するし。
しかし本作は3D映画の最先端を大画面で、3時間以上も見せてくれる最高の映像作品となっていました。上映時間は確かに長いけど、高度な撮影技術に甘えない、明確かつ無駄のない物語構成によって、退屈する隙を与えません(「新天地家族物」と捉えれば、やや定型的な要素も見られるけど)。完全に物語世界として構築されているだけに、本作が初見の観客はそもそもこの惑星はどこなのか、どのような生物環境で、登場する種族同士はどのような関係なのか、なかなか捉えにくいところはあります。しかしそれらをあえてくどくど説明せず、映像とアクションで表現することにほぼ全振りしています。端的に言えば本作は、巨大な謎を明らかにする、とか破滅の危機に陥った世界を救う、といった壮大かつ総合小説的な物語ではなく、「家族」の物語であって、彼らの姿を追っていくだけで十分に世界に没入することができます。
それにしても実写としか思えないような壮大な風景、そしてフルCGとは信じられないほど表情豊かな登場人物達には驚きの一言です。どの上映形態でも満足できる作りになっていますが、とにかく劇場で味わうべき作品です。
これだけの作品だけに、パンフレットもそれだけで映画一本分するほどのなかなかな価格。内容としては映画パンフレットというよりもアートブックに近いので、美術を楽しみたい人にはかなり満足度の高い内容ですが、より詳しい解説を読みたい人は別途解説本や雑誌で知識を補完した方が良いかも。