「キリの父親は○○○」アバター ウェイ・オブ・ウォーター たろうさんの映画レビュー(感想・評価)
キリの父親は○○○
大阪エキスポシティ IMAX 3Dで観賞。驚愕の高画質 3D映像で、海と水中の描写は圧倒されました。 キャメロン監督のメッセージが多々盛り込まれていますが、伏線回収されない出来事もあり、次回作の展開によって今作の評価が変わりそうな内容でした。
父親が誰なのか追い求めているキリが主人公なみに重要なキャラクターとして描かれていました。キリという名前も深い意味がありそうです。映画の終盤でエイワの力を使って絶対絶命のネイティリ達を助けてまさに救世主(メシア)となっていました。メシアとしてひろく知られている人物はイエス キリストですが、キリの名前の由来がキリストでないかと空想してしまいます。
(ちなみに救世主(メシア)とは、この世にあらわれて人々を救う指導者のことです。)
劇中に誰が父親なのかヒントになるシーンが散見されました。キリが森の地面に寝そべったり、砂浜を見つめているシーンでは、パンドラの大地から何かを感じ安堵しているかのように描かれています。(森の地面で安堵し過ぎてキリは居眠りしていました)また、物語の中でキリがエイワの力を操っているシーンがある事から、エイワの神秘的な力で奇跡的に授かった命だったとわかります。実体としての父親はいないのですが、誰が父親かと言われたら、エイワが父親と言えるかもしれません。言い変えるならパンドラの大地の子といった所でしょうか。
(だから、パンドラの大地でたたずむとキリは安堵するんですね)
スターウォーズシリーズでアナキン(ダース・ベイダー)がフォースの力で産まれてきた選ばれし者であった事や、聖母マリアが「精霊によって神の子を身籠る」と告げられ産まれてきた神の子 イエス キリストの生誕とも似ていますね。
グレース博士のアバターからキリは産まれたわけですが、人としての博士自身は前作で亡くなっています。前作でグレース博士自身の体(魂)とアバターを結び付けて、エイワの力を使って博士を救命しようとしました。残念ながら博士は絶命しましたが、かわりに博士のアバターの胎内に新たな命を授かっていたんですね。
人間、アバター(ナヴィ族)、エイワの混血とも言えるキリをキャメロン監督が創造したのは、キリに何らかの使命があるからと強く感じます。 エイワを通じて母親のグレース博士と出会うシーンがあった事から、次回作以降で母の望みと願いを知る事になり、その意志を継いで行く事も予感されます。
アバタープロジェクトを立ち上げたグレース博士は、パンドラを侵略して奪うのではなく、パンドラの住人と互いに理解しあって融和する事を切望していました。パンドラとエイワの神秘的な力についても深く理解しようとしていました。 崇高な精神をもった人格者として描かれていましたから、その母の意志と精神をキリが継いでくれるに違いないと期待してしまいます。
ただし、その過程でのキリの葛藤が次回作で描かれるのではと思います。キリの問いかけに気まずそうな表情で消えたグレース博士が印象的でした。キリの他人とは違う生い立ち、母として実際に触れあって愛情を注いで育てる事が出来なかった、父親が誰かもわからず寂しい思いをさせている、エイワの力を操れるキリにしか出来ない使命を背負わせてしまうかもしれないなどの理由で、グレース博士に後ろめたさと贖罪の心情があるからと推察されます。
前作でグレース博士を演じたシガニーウィバーが今作キリを演じている事も興味深いです。キリはグレースの産まれかわりで使命と意志を継ぐ者というキャメロン監督の意図を感じます。
次回作以降でキリが人類とパンドラの住人の争いを終結させる裁定者となるか、人類が住めなくなりつつある地球(詳細は不明ですが映画の冒頭で語られていました)をエイワの力を使って再生し人類のメシアとなるのか。
既にアバター5まで脚本が完成しているようなので、キャメロン監督の壮大な物語の続きが待ち遠しいです。