劇場公開日 2022年12月16日

「ライフワーク」アバター ウェイ・オブ・ウォーター hayassyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ライフワーク

2022年12月17日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

アバターの1作目の公開から13年。待望の続編である。
今回はある出来事によりサリー一家がメトケイナ族の棲むサンゴ島に引越しする話で、海をメインの舞台にした惑星パンドラの新たな一面が楽しめる作品になっている。

ジェームズ・キャメロン監督が海を扱った作品としては「アビス」や「タイタニック」といった作品が挙げられるが、本作では別惑星における海や生態系を描いたということが特徴的である。

本作では2022年現在で最高のCG技術が導入されており、水の表現がより繊細になり、また登場するクリーチャーに関しても本当に存在するのではないかと思える程の立体感、臨場感がある。
特にクジラ型のクリーチャー「タルカン」に注目していただきたく目の動きだけで繊細な表情を再現したり、戦闘時はその巨体を生かした躍動感ある動きが美しかった。

ジェイクの息子ロークとタルカンとの友情を描いている箇所はリュック・ベッソン監督の「グランブルー」を思いだした方も少なくないだろう。

本作では監督自身のプロスキューバダイバーとしての経験、一人乗り潜水艦の操縦経験、ミリタリーマニアとしての知識、エコロジー問題への意識等キャメロンのライフワーク全てを導入しており、それはキャメロンの思考をリアリティーある映像として具現化していることに他ならない。
つまり観客は「アバター」という作品を通して壮大なスペクタルと化したキャメロンの思考の中をその場にいるように体感することになる。

内容的には、ストーリー上仕方ない演出なのだろうが前作と重なって見える場面も多かった。しかし焼き増し感はあまり感じられず、むしろパワーアップしたジェイクやネイティリ、より非道さを増した人間サイドをしっかり見せようとあえて1作目をオマージュしているようにさえ感じられた。
そこに家族をテーマにしたファミリー映画としての要素が追加された。今作では主人公ジェイク以外に息子ロークや養女キリ、そしてナヴィ族と行動を共にする青年・スパイダーといった新たな登場人物たちの複数の視点で映画が進行していく部分が前作とは異なる点だ。

キリの出生の秘密やスパイダーの最後の決断といった要素が間違いなく今後の伏線になってくるので、自ずと次回作への期待値が高まる。

次回作では砂漠が新たなステージになるという噂なので「DUNE 砂の惑星」のように広大な砂漠という立地を活かした戦術や新たなナヴィ族の生活スタイルを見れるのではないかと今から楽しみである。

hayassy